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2022/7 Vol.125

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特集 withコロナにおける新たな生活様式を支える技術

モバイル端末による整形外科疾患スクリーニング

杉浦 裕太・渡辺 拓郎(慶應義塾大学)、藤田 浩二(東京医科歯科大学)

はじめに

モバイル端末で健康状態を把握

withコロナで、いっそう注目されているのは、医療現場に訪れなくても、人々の健康状態がわかる技術であろう。これまで診察室で医師が判断しているようなことが、生活の現場でもできるようになれば、患者の移動コストを下げることができる。またある程度の判断が自動的にできれば、医療資源をより重度の疾患に分配するなど、医療の効率化と医療費削減につながる可能性がある。情報機器の中でもとりわけスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末は人間との接触時間が長く、端末に組み込まれたセンサを活用して人間の状態が計測できれば、まだ自覚症状がない人々にもアプローチでき、疾患の初期症状を発見できる可能性もある。本稿では、このモバイル端末を用いて、整形外科疾患のスクリーニングを目指した研究の事例を紹介する。

対象の特徴

神経の変性が主体の整形外科疾患

整形外科と聞くと骨折などの外傷をイメージすることが多いが、関節、神経の変性が主体の整形外科疾患がある。これらの疾患は、非常に緩徐かんじょに症状が進行するために患者自身が症状を自覚しにくい。自覚した時点では病状が進行し、結果的に手術などの侵襲の大きい治療を選択せざるを得ないことも多くある。正確な診断には専用の機器が必須だが、これは高額で、検査には専門的な知識と経験も必要なため、普及は専門病院にとどまっている。

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