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2018/3 Vol.121

【表紙の絵】
特しゅなラップでオゾンそうを守るきかい「地球守るくん」
澤田 明伸 くん(当時9歳)
今、地球の「オゾンそう」がはかいされてきています。うちゅうでもたえられるかこうがしてある特しゅなラップで地球をおおいます。その特しゅなラップは、太陽風やいん石やうちゅうゴミが地球に落ちてくるのをふせいでくれています。それに、「地球守るくん」の本体は木でできていて、本体を作るときにあまり二さん化炭そを出しません。あと、顔の表じょうを変えられるので面白いです。地球のオゾンそうがはかいされなければいいと思います。

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機械遺産のDNA

ウォシュレット 新しいトイレ習慣への挑戦

※ウォシュレットはTOTO株式会社の登録商標です。                                     図4  ネオレストNX

 

1.おしりを「拭く」から「洗う」へ

「ウォシュレットG」の誕生

もともと日本では、温水でおしりを洗うという習慣はなかった。1970年代の日本のトイレは、和式から洋式へと大きく変わり始めた時代で、1970年代後半にはついに和式便器と洋式便器の出荷数が逆転した。そのような時代背景の中、東陶機器株式会社(現TOTO株式会社、以下当社)は、1964年から輸入販売をしていた「ウォッシュエアシート」をベースにした、新たな温水洗浄便座の開発を1978年11月に決定した。

開発にあたっては、洗浄性能や使い勝手など日本人にあったものにするため、おしりの洗浄ポイントや水量・水温、噴射角度など、必要な多くのデータが社内で一から集められた。この時得られた、洗浄する温水38℃、便座温度36℃、乾燥のための温風温度50℃、ノズルからの吐水角度43度など、開発に不可欠な基本データは、30年以上が経過した今でも変わっていない。

基本データをもとに「温水洗浄」「温風乾燥」「暖房便座」という三つの基本機能を搭載するためには、いずれにも素早くかつ正確に温度をコントロールする電子技術が必要であり、しかも、これを水まわり商品に組込まなければならないという高いハードルも存在した。実現するためにはICでの制御が不可欠であったが、ICのような精密部品を水や尿がかかる可能性のある商品に使用することが考えられない時代、信号機メーカーの協力を得て特殊な樹脂でICを含む回路をコーティングすることで、問題をクリアすることができた。その他、専用の熱交換器や洗浄ノズルの格納方法などの新技術が開発され、1980年6月に発売したのが「ウォシュレットG」であった (図1)

営業部門は、取替需要を喚起するキャンペーンを展開し、「おしりを洗う」新しい習慣・新しい市場を開拓していった。そして、1982年にテレビCM「おしりだって、洗ってほしい」が放映されると、ウォシュレットは一躍有名になり普及していくこととなった。

図1  ウォシュレットG(機械遺産 第55号)

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