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2019/12 Vol.122

【表紙の絵】
でんきをあつめるきかい 武田 碧さん(当時 4 歳)
たくさんのかみなりのでんきをあつめてにんげんの生活にすこしずつつかうきかいがあったらいいなとおもって絵をかきました。

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特集 さらなる挑戦、小惑星探査機「はやぶさ2」

「はやぶさ2」のイオンエンジン

月崎 竜童・細田 聡史・西山 和孝(宇宙航空研究開発機構)

はじめに

イオンエンジンの重要性

人類が確立した宇宙への現実的な移動手段は、ロケットしかない。ロケットは世界各国さまざまあるが、やや乱暴にいえば、その質量は約1001,000トン、費用は数十億数百億円になる。そしてそのロケットの大部分は、宇宙に行くための燃料でできている。実際に人工衛星や探査機のペイロード質量はロケット全体の質量の5%にもならない。地球の周りを回る人工衛星で約23%程度、地球重力圏を離脱して小惑星、火星や木星に行くなら1%未満まで減少する。また人工衛星や探査機自体にも、軌道修正や姿勢変更のための燃料を搭載しており、さらに宇宙で生存するために必要なバッテリー、太陽電池、温度管理のためのヒータなどの生きていくために必要なバス機器の質量を差し引くと、ミッション機器が占める質量は打上質量全体の0.1%にもならない。本稿で説明するイオンエンジンは、宇宙機の燃料を、従来のヒドラジンなどの化学燃料を使ったスラスタ(以下、化学ロケット)と比較し、10倍節約できる推進技術である。

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