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2020/2 Vol.123

表紙写真 北原一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館

表紙の説明: これは、1955年頃まで町工場で使われていたベルト掛け段車式の普通旋盤用の換え歯車である。今は電動機が付いた全歯車式であり、レバーやダイアルを操作するだけで簡単に送り速度やねじのピッチを換えることができるが、当時は表を見て、その都度、歯車を付け替える必要があった。

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特集 機械・インフラの健全性評価の現状と展開

電力設備の健全度評価における非破壊検査の現状について

西沢 孝壽〔東京電力ホールディングス(株)〕

はじめに

電力設備は、発電、送電、変電、配電、通信など多種の設備で構成され、その量は膨大かつ、山間部、海岸部、都市部など広範囲にわたる(図1)。電力設備は、他の社会インフラと同様に高経年化が進み、適切な維持管理なくして、電力の安定供給は達成できない。その多くは人手に頼った点検に基づくものであり、近年、熟練技術者の高齢化や減少が大きな問題となっている。また、電力自由化による競争の激化から、点検の高度化や効率化への要求が高まっている。

図1 電力設備の概要

点検には、日常おこなわれる巡視点検、設備の劣化状況を詳細に把握する精密点検、設備異常や地震や台風があったときの臨時点検がある。点検では異常箇所の有無を確認するが、特にき裂、減肉、摩耗などの経年変化に着目し、何らかの変化が確認された場合には、その劣化メカニズムを究明する。適切な非破壊検査手法により現在の状態を把握し、劣化メカニズムに基づいた劣化曲線を当てはめることにより、いつまで健全に利用できるかを評価する(図2)。評価結果を踏まえてタイミングよく補修や取替えを施すことで、経年化する設備を無駄なく健全に維持管理することに努めている。

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