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2020/2 Vol.123

表紙写真 北原一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館

表紙の説明: これは、1955年頃まで町工場で使われていたベルト掛け段車式の普通旋盤用の換え歯車である。今は電動機が付いた全歯車式であり、レバーやダイアルを操作するだけで簡単に送り速度やねじのピッチを換えることができるが、当時は表を見て、その都度、歯車を付け替える必要があった。

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やさしい熱力学

第2回 熱力学第一法則

1. はじめに

本稿では,熱力学の根幹をなす法則の一つである,熱力学第一法則について解説するとともに,気体による仕事の表現と内部エネルギー,その前提となる準静的過程などについて理解する。

2. 熱力学第一法則

前回示したジュールの実験から,熱と仕事は形態が異なるものの,本質的には同じエネルギーである等価性が示された。この等価性とエネルギー保存の原則を含めて,熱力学第一法則という。この法則は,仕事を熱に変えることも,熱を仕事に変えることも可能であり,系と周囲とのエネルギーのやり取りがない場合には,系が保有するエネルギーの総和は不変である,ということを示している。ここで系とは,注目している物質の集合体のことをいう。系は,境界に囲まれており,境界の外側を周囲という。図2.1に系,境界および周囲の概念図を示す。ここでは,シリンダ内に封入された気体を対象として状態変化を考える。この場合,シリンダ内の気体が系であり,図中に破線で示されているのが境界である。境界を横切って,系には周囲から熱量の出入りがあり,また,系は周囲に対して仕事をする。すなわち,熱力学では,この系を対象として,系に対する熱の出入り,系が外部に対してした仕事,系の状態変化の関係を理解するものである。

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