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2020/4 Vol.123

表紙の説明:
1972年スイスのベヒラー社製の主軸台移動形棒材作業用単軸自動旋盤の刃物台部分である。カム機構により放射状に配置された5種の刃物が、半径方向に順次動く。刃物を軸方向に送る代わりに、工作物を中央のガイドブッシュから送り出しながら加工するため、工作物のオーバーハングが無く、高精度な加工ができる。

表紙写真 北原 一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館

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特集 複数性能を扱う最適化設計技術

対話型の多目的最適化手法による経路設計

白川 昌和〔東芝エネルギーシステムズ(株)〕

はじめに

プロットプランの多目的最適化

エネルギー・環境プラントや石油・化学製品、鉄鋼・非鉄金属製品、食品、医薬品などを製造する産業プラントなど、多数の構成機器が相互に関係しあうプラントシステムの配置設計は、安全性、経済性、操作性、施工性、保守性、デザイン性など、一般に多くの評価指標が複雑な相関で介在している。つまり、配置設計上の本質的な難しさは、競合する複数の評価指標を勘案する設計者の多目的意思決定にあると言える。

筆者は、前稿(1)でプラント設備の全体配置図(プロットプラン)を設計対象として取り上げ、対話型の多目的最適化手法を応用したプラント配置最適化システムについて紹介した。プロットプランは、機器配置設計と配管経路設計の二つの設計問題を含んでいる。ただし、前稿では配管経路設計よりも機器配置設計に重きを置いていたので、配管やケーブル類の長さを最短経路となるマンハッタン距離(L1距離)で便宜的に表していた。しかしながら、実際のプラント設備における配管やケーブル類は、保守性や美観の観点から、ばらばらに最短経路で接続されることはない。配管やケーブル類は、数本ずつパイプラックに集約し、機器や建屋を迂回しながら、個々の入出力関係にある機器へと接続されている。

そこで本稿では、設計者の多目的評価に基づいて、配管やケーブル類の経路とパイプラックの配置とを同時に最適化する手法を紹介する。

対話型の多目的最適化手法(1)

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