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2020/4 Vol.123

表紙の説明:
1972年スイスのベヒラー社製の主軸台移動形棒材作業用単軸自動旋盤の刃物台部分である。カム機構により放射状に配置された5種の刃物が、半径方向に順次動く。刃物を軸方向に送る代わりに、工作物を中央のガイドブッシュから送り出しながら加工するため、工作物のオーバーハングが無く、高精度な加工ができる。

表紙写真 北原 一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館

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名誉員から一言

ある材料強度技術者の半生と反省

機械工学との関わりは機械工学科への配属に始まり、半世紀近くが経ちます。ここでは、特に材料力学の視点から取組みを振り返ってみようと思います。

今では技術も細分化され習得すべき技術の種類も多くなり(過ぎ?)、学生や教員も苦労されていると思います。私たちの学生時代には材料力学だと、材料力学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと1年半を掛けて勉強できました。教科書は恩師の中原一郎先生の“材料力学”上・下巻でした。最初の講義で剪断力(当時は漢字でした)が話題となり、何だろうと思ったことを記憶しています。教科書には数多くの演習問題が用意されており、不謹慎ですがパズル感覚ですべて解き、後の技術者としての素地を作れました。卒業研究、大学院はこの勢いで材料力学実験室に進みました。弾性論に基づき、調和応力関数を用い、応力集中の理論解析に取り組みました。大学院においては荷重条件のみならず形状まで非軸対称な当時としては見当たらなかった3次元問題に中原先生の指導の下で挑戦しました。修士2年の晩秋まで答えが得られず留年も頭によぎる始末でした。足掻き続ける中で自棄ぎみに補助の関数を加えることでようやく答えにたどり着けました。学会デビューは仲間内でも遅くなり、博士課程1年の富山での年次大会でした。司会の著名な先生から先生と呼ばれ気恥ずかしかったことを憶えています。荷重条件を変えながら博士論文は比較的順調にまとまりましたが、新たな課題に挑戦しだすことも大切だったと思っております。

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