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2020/4 Vol.123

表紙の説明:
1972年スイスのベヒラー社製の主軸台移動形棒材作業用単軸自動旋盤の刃物台部分である。カム機構により放射状に配置された5種の刃物が、半径方向に順次動く。刃物を軸方向に送る代わりに、工作物を中央のガイドブッシュから送り出しながら加工するため、工作物のオーバーハングが無く、高精度な加工ができる。

表紙写真 北原 一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館

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特集 複数性能を扱う最適化設計技術

三次元水管を用いたプラスチック射出成形におけるプロセスパラメータの最適化

北山 哲士(金沢大学)

はじめに

プラスチックには、高い生産性と高品質が求められる。品質はさまざまであり、反りに代表される寸法精度や、二つ以上の樹脂の流れが完全に融合しないときに生じるウェルドラインのように外観や強度に影響を与えるものなど、対象とする部品やその用途によって異なる。品質と生産性の向上には、プロセスパラメータを適切に決定することが重要になるが、実験的もしくは経験的に決められている場合がほとんどである。プラスチック射出成形(Plastic Injection Molding: PIM)のComputer Aided Engineering(CAE)は一部の大手企業では利用されているようであるが、品質や生産性向上に向けてプロセスパラメータの最適化をするといった試みよりも、各プロセスパラメータが品質へ与える影響を調べるといった感度解析に近い形で用いられているようである。

一方、金型内の水管経路が品質や生産性に影響を与えることも広く認知されている。特に、水管経路は冷却性能に直接影響を与えるため、良い水管経路の設計が金型設計者の腕の見せ所になる。プラスチック部品の形状に沿うような三次元水管経路(Conformal Cooling Channel: CCC)を設計・製作できれば、部品を一様に冷却することができ、品質と生産性は飛躍的に向上すると指摘されていたが(1)、金属3Dプリンタの登場により、これまでは机上の空論に近かったCCCの設計と製作が実現可能となっている。

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