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2020/11 Vol.123

表紙の説明:これは、1962年にドイツのギルデマイスター社で製造されたチャック作業用6軸自動旋盤のチャック部分(左)と刃物台部分(右)である。円周上に配置され、連続割り出しする6個のチャックに工作物を取付け、刃物台がまるで6台の機械のように軸方向に動いて加工を行い、1周すると1個の部品が出来上がる。
[日本工業大学工業技術博物館]

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統計で読む“経済・産業の動き”

第11回 日本の国際競争力は強いと言えるのか

日本の自動車、鉄鋼や工作機械の国際競争力は強く、今後とも期待されている産業である。国際競争力とはいかなるものか、輸出比率の国際比較、各国の輸出構造、日本の産業の国際競争力比較を通じてその実態を見ることにより国際競争力を考えてみる。

日本は輸出大国ではない

日本は輸出大国ではない。多くの人が日本は輸出大国と思ってはいるが実はそうではない。自動車の輸出が目立っていることから日本の輸出競争力は強く、輸出額も大きなものであると思っている。

表1はGDPベースでの各国の輸出比率を見たものである。これをみると、日本とアメリカが極めて低いことがわかる。アメリカは資源もある大国だから自国で多くの生産品を賄うことができるため輸出比率が低いのは当然だとしても日本は低すぎる。これに対してヨーロッパ諸国の輸出比率の高さが目立つ。ドイツ、スウェーデンの4割台をはじめ、日本と同じ島国であるイギリスも3割程度ある。スウェーデンは人口1,000万人程度の人口が少ない国だから国内に多くの産業をワンセットで揃えることができないので貿易が必要となり、当然ながら輸出入比率は高くなる。ドイツについては、大陸で陸続きであるから輸出が容易であるとか、共通通貨であるユーロの存在、水平分業が発達していることから輸出が多くなるなどの理由があるが、国際競争力が強いことがそれら以上の大きな要因と考えられる。

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