和文学術誌目次
日本機械学会論文集 掲載論文 Vol.91, No.947, 2025
公開日:2025年7月25日
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/transjsme/91/947/_contents/-char/ja
<材料力学,機械材料,材料加工>
NiTi合金製ラティス構造のエネルギ吸収特性 (第1報 ストランドの有効長さを考慮した構造の剛性と強度の評価)
愛宕 祐治, 牛島 邦晴, 土谷 浩一
https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00072
本研究では,圧縮荷重を受けるNiTi製ラティス構造(BCC構造およびRD構造)の機械的特性を評価する手法について検討し,特に,ラティスを構成するストランドの有効長さを考慮した理論評価手法を提案した.解析結果を踏まえ,以下の結論を得た.
・BCCラティスおよびRDラティスのいずれの構造においても,変形初期の剛性および相変態開始応力に関する理論解は,FEM解析結果と良好に一致する.
・本研究で提案する評価は,他の研究者により提案された評価に比べ,最大3倍程度の高精度を有する.
・相変態開始応力のばらつきは,材料固有の相変態開始応力および終了応力の差分,ならびに相対密度に依存する.また,RD構造においては,ストランドの直径とユニットセルの幅との比d/L≦0.2程度までであれば,高精度な予測が可能である.
<熱工学,内燃機関,動力エネルギーシステム>
ディーゼル機関の運転条件および燃料性状がすす粒子のナノ構造に及ぼす影響
稲葉 一輝, 小原 瑞貴, 山倉 裕己, 黒島 悠, 林田 和宏
https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00027
本研究では機関運転条件および燃料性状がディーゼル機関から排出されるすす粒子の炭素結晶子サイズに及ぼす影響を調査した.燃料には軽油と,軽油と同等の着火性を持ちアロマ分を含まないパラフィン系炭化水素燃料(CN55)を使用し,様々な機関運転条件においてすす粒子を捕集してレーザラマン分光法,高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM),および熱重量分析装置(TGA)により炭素結晶子サイズおよび酸化反応性を分析した.その結果,CN55の炭素結晶子サイズは軽油よりも小さく,酸化反応性が高いことがわかった.また,燃料によらず炭素結晶子サイズと燃焼期間を実時間に換算した滞留時間との間には強い正の相関が認められ,滞留時間がすす粒子のグラファイト化に影響することが示唆された.
<機械力学,計測,自動制御,ロボティクス,メカトロニクス>
全系の単一の共振を配置するためにCEAMを用いて分系の内部構造を変更する方法
村上 賢吾, 松村 雄一, 稻葉 雅至
https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00073
機械ユニットの振動・騒音問題は製品開発の最終段階で顕在化することが多く,大規模な開発の手戻りが発生し,開発期間の長期化や開発コストの増大が問題となっている.本稿では,製品開発の上流において,サプライヤーの側からも全系の振動・騒音性能を設計できるようにする方法の一助として,全系の単一の共振を所望の周波数へと配置するために,サプライヤーの分系の構造変更によって実現する方法を提案する.本手法はkernel Compliance AnalysisとConstrained Eigenstructure Assignment Methodから構成されるInverse problemを解く方法である.
<設計,機素・潤滑,情報・知能,製造,システム>
ロボット動作計画のための3次元点群を用いた実配線の変形予測
北島 薫, 前田 真彰, 梶田 大毅, 武田 博樹, 堤 大輔
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00221
生産変動に柔軟に対応可能な生産ラインの実現に向け,シミュレータと実機の差異に起因するロボット動作計画の手戻りの防止が必要である.本研究は差異の1つであるロボットに付帯して変形する配線の変形予測を目的とし,実機を計測した点群の位置合わせの閾値決定方法,および位置合わせによって抽出した変形する配線に適用する梁の変形曲線を応用した配線変形予測手法を開発した.実機検証の結果,閾値決定方法の妥当性を確認し,関節角度によらず最大2.9mmの変形予測誤差で配線形状を予測でき,手戻り防止に有効となる見通しを得た.また,社内の生産ラインに適用することで工数削減効果が92%と試算された.
機械加工部品製造への積層造形法の部分的な導入によるCO2削減効果の分析
法兼 義浩, 西村 秀和
https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00019
製造業では,部品製造を含めたサプライチェーン全体の連携によるCO2排出抑制が求められている,積層造形(AM)は最小限の材料で柔軟な生産が可能な新しい工法であり,従来工法と積層造形の協調生産により製造業のサプライチェーンのCO2排出量を抑制する可能性がある.本研究では,付加製造と従来製造の協調製造システムでのCO2排出量と部品製造コストのトレードオフを,多目的最適化手法を用いて分析する手法を提案する.部品製造のユースケースを検討し,CO2排出量を最小化する条件をパレート集合として導出する.更に感度分析を行い,部品製造時の材料消費量や製造時のエネルギー消費量などがCO2排出量削減に与える影響を評価する.
<生体工学,医工学,スポーツ工学,人間工学>
パルスオキシメータプローブを用いた血流依存性血管拡張反応の計測(RH-PATとの比較)
嶋脇 聡, 滝田 実優, 木村 有里
https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00055
本研究の目的は、健康な被験者49人に対して、パルスオキシメータプローブを用いて上腕のカフ圧開放後の血管拡張を検知できるかを調査することと,血管拡張に対応すると考えられる推定量とEndo-PATによる血管充血反応指数RHIとの相関を求めることであった.上腕はカフ(200mmHg)で5分間圧迫され,圧迫前後の出力電圧が得られた.
カフ圧開放後に,反応性充血に起因すると考えられる出力電圧の減少を確認した。カフ圧迫後における出力電圧の増加量とカフ圧迫開放後における出力電圧の減少量の比をR2と定義した.赤色光と赤外光によるR2とRHIとの間に有意な正の相関があった(ρ=0.53, 0.55).
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表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)