特集 チタンを中心とするhcp金属の機能と性能の発現と向上
純チタン薄板の引張特性に及ぼす結晶粒径と引張方向の影響
純チタン薄板
チタンは純チタンとチタン合金に大別され、純チタンは強度レベルで水準が分かれている。純度が高いほど軟質で加工性に優れる。複雑形状への成形加工を要する場合は最も軟質な純チタン(JIS1種)が用いられる。特に、チタンは比強度に優れるだけでなく耐食性も優れることから、海水(塩化物環境)中で用いられることが多い。例としては海水を用いて熱交換をする板式熱交換器が挙げられる。これまで、多くの純チタン薄板(コイル)が使用されているが、明確ではないことも多い。それは基本的な特性とされる引張特性においても同様である。引張特性は0.2%耐力、引張強度、均一伸び、局部伸び、r値が基本的な評価項目である。これらは、図1に示すように素材の圧延方向と引張方向のなす角θによってよって大きく異なる(1)(2)。この原因は純チタン薄板を製造する場合に形成される集合組織(各結晶粒の結晶方位が特定の方向に分布している状態)によるものである。また、引張特性はひずみ速度、結晶粒径などさまざまな因子の影響を受けることは知られており、実用的にはこれらの因子の影響を体系的に理解しなければ、材料の性能を十分に発揮させられない。しかし、これら因子の影響を体系的に理解できているかというと、十分ではない現状があった。そこで、引張特性に及ぼす各種因子を体系的に理解することを目的に研究を行っている。本稿では、影響因子として、結晶粒径と引張方向、ならびに薄肉化によって生じるサイズ効果(詳細は後述)の影響を把握するために板厚も考慮して体系的な研究を行ったので、その紹介をする。
表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)