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2025/8 Vol.128

表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。

デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)

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特集 チタンを中心とするhcp金属の機能と性能の発現と向上

hcp 分科会の紹介

多田 直哉(岡山大学)

チタンを中心とするhcp分科会

hcp金属の代表であるチタン

金属には代表的な結晶構造が3種類存在し、その一つが図1に示すhcp(hexagonal close-packed)構造である。単位となる構造が六角柱の形状になるが、その軸比(= c/a)は物質によって異なる。原子が理想的な球形できっちり配置されると軸比は1.633となるはずであるが、実際はその値にならず、物質によって大きく異なる。例えば、チタンは1.598、マグネシウムは1.623、亜鉛は1.856などである(1)。この軸比の違いによって塑性変形のメカニズムや変形異方性が変わってくるので、物質ごとに多様な特性を発現する。

図1 hcp構造の原子配置

チタンは代表的なhcp構造を持つ金属の一つであり、約6000年前から使用されている銅や約4000年前から使用されている鉄と比べ、かなり新しい金属である(2)。と言うのも、純度の高いチタンの抽出や工業化は20世紀半ばに始まり、それがゆえに、現在においても活発に材料開発が行われている。純チタンやチタン合金の特長として上げられるのは、軽量、高強度、耐食性、耐熱性、生体適合性などである。これらの特長を生かすべく同材料は、化学装置、石油精製装置、発電所の復水器、航空機や自動車、二輪車の部品やエンジン、建材、レジャー用品、インプラントや矯正用ワイヤーといった医療器具などのさまざまな用途で広く用いられている(3)~(5)。課題として上げられるのは高価格と難加工性である(2)。前者は、チタンが酸素と強い親和性があるため、還元反応を不活性ガス下で行う必要があることと、塩化マグネシウムの電気分解などに多大なエネルギーが必要であることが主な理由である。後者の加工性に関しては、チタンは加工の際に発火しやすく、また、高強度であるため工具の消耗が激しいことに起因する。大きな課題はこれら二つあるが、チタン合金には、添加元素の種類と割合によって多くの種類が存在し、また、最近は積層造形材の開発もあり、変形特性や強度のさらなる向上、疲労、破壊に対する信頼性などに関してまだまだ課題が多い(6)

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