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2017/2 Vol.120

【表紙の絵】
「アレルギー物質がパパッとわかるメガネ」&「モニターロボ」
伊藤 心くん(当時9 歳)

このメガネはウエアラブルコンピューターメガネの未来型で、食物アレルギーがある人のために作られました。
メガネの横の黄色い部分から赤外線が出るので、物質の持つ波長のちがいから、中に入っている物質がわかります。
そのデータをロボットに通信してモニターロボに結果を表示します。
事前に自分のアレルギー物質を登録しておけば、食べられるかどうか瞬時に判断できます。
ぼくはナッツアレルギーですが、このケーキはOK マークが出たので食べることができます。

*作者の伊藤 心くんは2016年7月15~17日開催の「口笛世界大会2016 ジュニアの部」で優勝しました。
http://whistling.jp/wwc/wwc2016/wwc2016-results
http://www.akita-u.ac.jp/honbu/event/item.cgi?pro6&849

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おもしろイベント報告①

手作りで音を楽しもう!

環境にやさしい 夏休み親子向けイベント

音遊びから、科学への興味を引き出す!

子供たちから大人まで、誰にとっても面白い、不思議な音の世界。そして、子供は耳がよく、音に敏感だ。このイベントの狙いは、音遊びを通じて、子供たちの科学への興味を引き出し伸ばすことである。大変嬉しいことだが、2008年にスタートし、2016年で9年目を迎えた人気・長寿イベントとなっている。そして、今年も夏休みの1日、32名の小学生とその親たちが、会場の東芝未来科学館に集まった。

タイトル 手作りで音を楽しもう
開催日 2016 年7 月28 日
開催場所 神奈川県川崎市・東芝未来科学館
主催者 環境工学部門 *1(後援/ 東芝未来科学館)
主な対象 小学生(低~中学年)と保護者
主な作業 ボンゴラピアノ作成・音ビンゴ
参加人数 小学生32 名(保護者約20名)

 

「知識」「作業」「実験」「音ゲーム」と盛りだくさんの4時間

1時間目は、「音の話」。色んな不思議な音を聞いてもらった。ずっと音の高さが上がっていくのに、いつまでも終わらない「無限音階」や、スピーカーを近づけると静かになる音などを、子供たちと楽しんだ。そして、その科学的な仕組みを説明。最後に音の高低などの基本的な解説を行った。

「音の話」の時間で、科学的な仕組みの説明を受ける様子

 

2時間目は、アフリカのボンゴラなどで、民族楽器として親しまれている「ボンゴラピアノ」の工作指導。ボンゴラピアノは、長さの異なる金属板を木片に止めて、その金属を指ではじいて音を出すもの。金属板の長さで音の高さが異なることや、金属板のそり方で音色が変わることなどを、実際に体験してもらった。最後に、製作したボンゴラピアノを使って、「カエルの歌(カエルの歌が聞こえてくるよ~)」を演奏。このピアノのかわいい音が教室に響いた。

ボンゴラピアノ(左)と製作に取り組む子供たち(右)

 

3時間目は、始めに長さの異なる共鳴パイプにスピーカーを近づけて、音色の違いをデモ。次に、超指向性スピーカー *2  を使って、一列に並んだ子供たちに向け、列の一部の子にだけ音が聞こえる実験をした。

共鳴パイプの音に耳を傾ける子供たち

 

4時間目は、音ビンゴ大会。いろいろな音の強さの数字で、ビンゴを完成させるゲーム。飛行機の音の強さは? 電車の音は何デシベル? などと、PC から無作為に発生させた身の回りの音を聞き、その大きさで競った。さらに時々、子供にマイクを向けて声を出してもらい、「この声は何デシベル?」「ビンゴするには、何デシベルの声を出したい」と大盛り上がり。また、遊びの中でも、「横断歩道では、なぜ音がするの?」などの音の役割の解説も行った。

音の大きさをPCで表示。右は手製のビンゴカード

 

参加者の反応は良好! 来年もやりましょう!

約9割の方から、「満足、大変面白い、わかりやすい」との感想をいただいた。さらに、「科学イベントが多数存在する中で、音に特化した内容は面白い」との声も。そして、今後期待するイベント内容として、「科学実験・工作」「楽器作り」「鉄道関係」というキーワードをいただいている。

本イベントは、毎年、募集開始直後に定員になっている。小学生と保護者の皆さんに、音と科学への強い関心を持っていただける機会となっており、環境・機械工学の普及と啓蒙の一助になっていると考える。

最後に、機械工学振興事業資金から助成をいただいたことに、また、会場から準備まで東芝未来科学館に協力をいただいたことに、そしてご助力いただいた各社・各大学の皆さんに、感謝いたします。

江波戸 明彦 (株)東芝

 

*1  部門所属の関係者 千代田化工建設(株)、(一財)小林理学研究所、中央大学(戸井研究室の学生さん)、東海大学、山梨大学、(株)東芝
*2  デモ機材のご協力 三菱電機エンジニアリング(株)

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