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2021/4 Vol.124

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

ラチェット

年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/H315, W245, D150 (mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ二一四」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]

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特集 3.11から10年、「安全」を取り巻く環境、意識はどう変わったか

3.11から10年、「安全」を取り巻く環境、意識はどう変わったか

小澤 守(関西大学)

はじめに

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から10年が経過した。死者、行方不明者、震災関連死者数を含めると22,000人にも達する大災害であった。さらに地震と津波によって外部電源、非常用電源を失った福島第一原発では1号機から3号機の炉心溶融および格納容器破損と1、3、4号機における水素爆発などが発生し、多量の放射性物質が広範囲に拡散し、16万人にも及ぶ人たちが避難を余儀なくされ、10年が経過した現在においても居住できない場所がかなり残されている。我が国はプレート境界に位置することから過去何度も地震や津波による大災害を経験してきたが、放射性物質の大気拡散にまで立ち至った災害は初めての経験であった。

我が国において公的に原子力研究が開始された1955年の原子力基本法の制定以降における原子力安全研究や海外技術導入、原発導入に関わる社会的合意形成過程、原子力規制など福島第一原発事故の背景要因について、さまざまな議論がなされている。ここではそれらの詳細には立ち入らないが、今後の我が国のエネルギー・環境政策を議論する上で避けて通れない重要な問題である。

東日本大震災以降のこの10年間には、熊本地震(2016)、大阪北部地震(2018)、北海道胆振東部地震と全道ブラックアウト(2018)、さらには台風21号(2018)、台風19号(2019)など、台風や集中豪雨による災害が多発した。従来、十分な耐力、余裕があったと思われていた河川や海岸堤防、建築物、電力系統、ガス配管系、鉄道、航空、情報通信系、公衆衛生関連組織などすべての社会基盤を構成するシステムそのものの脆弱性が顕在化し始めているように思われる。

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