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2021/4 Vol.124

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

ラチェット

年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/H315, W245, D150 (mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ二一四」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]

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特集 3.11から10年、「安全」を取り巻く環境、意識はどう変わったか

機械安全とCountry Specific Safety Culture

伊藤 大輔(関西大学)

はじめに

原子力安全の基本は安全文化(safety culture)であると国際原子力機関(IAEA)や米国原子力規制委員会(NRC)は明確に定義しているが、原子力技術や安全確保のためのハードウェアは世界共通である一方、それを運用する社会そのものは個別の国情やその国の文化を色濃く反映したもの、つまりcountry specificなものになる。我が国は明治以来、火力発電はもとより各種の工業機器、特に第2次世界大戦後は石油化学工業および原子力発電はある意味、建設技術からメンテナンス技術、規制方法まですべてパッケージとして導入してきた経緯がある。特に規制についてはcountry specificの影響を受ける上記の安全文化が重要であるにも拘らず、IAEAやNRCのいう理念が根付いているとはいいがたい状況にある。その典型がリスク評価であり、受け入れ可能なレベル設定が必要であるにも関わらず依然として白黒決着をつける、つまり絶対安全を求める機運にあるのではないだろうか。また、安全対策や規制・規格についても同様で、結果的に我が国では構造規格が重要視され、欧米では機能規格が重要視されるといったある意味規格基準に関する基本思想に乖離があるように思われる。

本稿では我が国独自の文化や基本的なものの考え方から見たcountry specificなsafety cultureについて整理する。

日本と欧米の安全・リスクに対する考え方の違い

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