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2022/5 Vol.125

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特集 技術革新をもたらす複合材料技術

航空機複合材構造の接着接合技術

安岡 哲夫〔(国研)宇宙航空研究開発機構〕

なぜ航空機構造で接着接合に取り組むのか

接着接合は機体軽量化のカギとなる

接着接合は古くからある技術であり、それは航空機においても同様である。接着接合が適用された航空機の最初期は、第二次世界大戦中に製造され、木製航空機としても有名なde Havilland DH.98 Mosquito(1940~)にさかのぼる。戦後、旅客機としてはFokker F27 Friendship(1955~)が接着接合を適用した機体として有名であるが、その後も多くの機体で接着接合が適用され、現在に至っている。

旅客機において接着接合は、過去よりハニカムパネルや、外板内側に取り付けられるティアストラップ、一部のダブラー(補強板)で適用されてきた(1)。近年登場した複合材を主構造とする機体においては、外板パネルのスキン(板材)とストリンガー(補強部材)の接合で利用されている。しかしながら、主構造部材の接合はファスナ(ボルト、リベット)による機械締結方式が今も主流である。機械締結をすべて接着接合に置き換え、ファスナレス構造とすることで、機体の更なる軽量化が実現できると見込まれる。

航空機構造における接着接合の特徴

接着接合は潜在能力が高くチャレンジングな技術

なぜ接着接合ではなく、機械締結が適用されているのだろうか。機械締結と接着接合の比較から、それぞれの長所と短所が見えてくる。図1に航空機構造の接合方式を示した。主流で用いられる方式の機械締結、一部の構造で適用されている接着接合、そして今後の技術として期待される溶着接合の三つがある。

図1 航空機構造の接合方式:(a)機械締結、(b)接着接合、 (c)溶着接合。

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