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2022/5 Vol.125

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特集 技術革新をもたらす複合材料技術

複合材料の3Dプリンティング

松崎 亮介(東京理科大学)

はじめに

これまでの複合材料成形は、副資材の選択、積層や硬化に関するノウハウが多く、だれでも簡単に成形できるものではなかった。一方で、市販されている樹脂フィラメントを用いた熱溶解積層法の3Dプリンターは、CADデータから直接立体造形できるものの、強度と剛性が低く、構造材料としては使えない課題があった。炭素繊維複合材料(CFRP)が高い強度を有するのは連続炭素繊維を利用しているためであり、この連続炭素繊維を使用した複合材料3Dプリンターが実現されれば、成形型を用いずに高強度な複合材料を立体造形できる。筆者らは関東経済産業局サポイン事業を通して、日本大学、東京工業大学、JAXA、スーパーレジン工業と共同で連続炭素繊維3Dプリンターの研究開発を行い、その後も活用範囲を広げる研究を進めているので、その一端を紹介したい。

連続炭素繊維複合材料の3Dプリント

複合材料3Dプリンターは、熱溶解積層法の3Dプリンターをベースとして、ノズルの前段から連続炭素繊維束と熱可塑性樹脂フィラメントをそれぞれ導入し、ノズル内のヒーターで熱可塑性樹脂を溶融しながら炭素繊維束に含浸させ、炭素繊維強化熱可塑性複合材料を吐出し立体造形する(図1)(1)。別途、樹脂含浸済みの連続炭素繊維複合材料フィラメントを中間材料として用意し、溶融造形することも可能である。

図1 複合材料3Dプリンターの仕組みと造形例

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