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2022/5 Vol.125

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特集 技術革新をもたらす複合材料技術

材料からプロセス全体の最適化による革新的成形技術

鵜澤 潔・西田 裕文(金沢工業大学)

はじめに

成形技術が複合材料の適用拡大に大きく貢献

近年の複合材料の利用拡大は、高い生産性と品質管理を両立し低コストを実現する高度な成形技術が大きく貢献している。このとき、単に成形装置や機械による省力化だけではその効果に限界があり、プロセスの自動化や高速化を達成するために、材料の成形特性をその装置やプロセスに適合させる、いわゆる材料から製造までの全体を統合した最適化が求められる。

例えば、強化繊維を織物や樹脂を含浸させたプリプレグなどの中間基材に加工せず、ボビンから直にドライファイバーを用いることで材料コストが低減できるダイレクト成形や、樹脂の硬化反応を必要としない熱可塑性樹脂によるハイサイクル成形を目指したプレス成形などは、積層装置やマテリアルハンドリング&プレス装置の自動化などの機械技術だけでなく、そのプロセスに適合する硬化・重合反応特性を持つ専用の樹脂の開発により実現できた成形方法である(1)

当然ながら、材料・プロセス・装置の最適な組み合わせは一つではなく、適用品の各々に対して正しい選択と適合化が求められる。材料に適合した成形技術の開発が不可欠であり、むしろその成形技術のニーズをどのように材料特性に反映させるかが重要な開発要素となる。しかしながら、製品製造に直結する事から成形技術の広い周知には限界があり、高い材料技術は有するものの複合材料の製造・商品化のバリューチエーンが未発達である日本では、材料開発に反映できるレッスン&ラーンドも十分だとは言い難いのが現状である。

以下に、近年の成形技術開発の取り組みについて概説し、あわせて筆者らが取り組んでいる革新的成形プロセスを実現する新規樹脂&成形装置の統合研究の例について簡単に紹介する。

 

近年取り組まれている成形・製造技術

低コスト化に必須なドライファイバーの利用

近年積極的に取り組まれている複合材料の成形・製造技術開発は、航空・宇宙分野や風力発電ブレードなどの大型部材と自動車部材などの量産部品の二つに代表される。

図1は各種の材料と成形方法およびアプリケーションの組み合わせの一覧である。複合材料の成形とは、要するに繊維束や織物を樹脂によって固め・形作ることであるが、アプリケーション毎に要求される生産量や形状・材料特性などの要求仕様からバックキャストされて、型治具や成形方法が選択され、その成形方法に合わせた材料が使用されている(2)

 

図1 各種材料と成形方法およびアプリケーションの組み合わせ

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