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2017/1 Vol.120

【表紙の絵】
「ハッピーハッピーマシーン」
中村 遼くん(当時5 歳)
作者のコメント:
人の心を傷つける人や、けんかばかりする人をハッピーハッピーマシーンが吸い
とってくれて、心のきれいな人に産まれかわらせてくれるよ。
みんなが幸せになってほしいな。

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論文アクセスランキング

日本機械学会学術誌の状況と論文アクセスランキング

第94期編修理事会

日本機械学会学術誌の変遷

日本機械学会は1935年に和文誌(機械学會論文集)の発行を開始し、1958年に英文誌(Bulletin of the JSME)の発行を開始している(図1)。それ以来、誌名の変遷はあるものの連綿と和文誌・英文誌の発行を続けてきており、2015 年度末(2016 年2 月末)の段階で和文誌の掲載論文数は累計51,914件、英文誌の掲載論文数は累計15,787件に及んでいる(図2)。英文誌は2006年6月から電子ジャーナルとしてJST(科学技術振興機構)のJ-STAGEによる一般公開(閲覧無料)に移行した。和文誌も2011年1月から電子ジャーナルの一般公開に移行し、日本機械学会学術誌として和文誌・英文誌ともにオープンアクセスの電子ジャーナルとなった。

図1  日本機械学会学術誌の変遷

新学術誌への移行とその現状

本会学術誌への掲載論文数は1997年をピークに減少傾向にあり、2015年度は848件と1997年度の半分以下の状況にある(図2)。このため早急に学術誌の掲載数を回復させることが本会にとっての重要課題となっている。
本会の学術誌は、2011年度から議論を重ねた結果として2014年1月に新学術誌として再編された(図1)。その目的は、「日本機械学会学術誌を過去の資産も含めて世界からより多く読んでもらえる学術誌にする」ためである。機械工学の全分野をカバーした総合誌として、質の高い論文を掲載し、国際的な認知度を高めることで、インパクトファクター(IF)の取得も目指している。従来の部門英文ジャーナルについては「部門が希望する場合は、現行の英文ジャーナル刊行を継続できる」とし、部門英文ジャーナル4誌を残した。また、オリジナルな業績は1論文という方針のもと、和文・英文誌間の「再録論文」制度が廃止された。
最近の本会学術誌への掲載論文数と投稿論文数をみると、和文誌では2015年度論文掲載数が2014年度に比べ増加したが、新学術誌として再編された2014年度の掲載数が、大幅に減少している。2013年度に旧制度での駆け込み掲載があったことやノートを廃止したことも掲載数減の一因になっているものと思われる。英文誌は、2006年度からの電子化と分野別ジャーナルの発行後、一時掲載数が増加したものの、その後の減少により2014年度の掲載数は2008年度の半分程度である。ここ2年、英文誌への投稿件数は増加しているが採択率が低く、掲載数の増加には結びついていない。
また、学術誌の評価指標として用いられることの多いIFに関しても本会の英文誌は厳しい状況にあり、国際的な認知度は高いとはいえない。現在、本会の学術誌でIF を付与されているものはJournal of Thermal Science and Technology(IF: 0.611)とJournal of Advanced Mechanical Design,Systems, and Manufacturing(IF: .331)の2誌だけである(IF はいずれも2015年の値)。
本会英文誌の国際的な注目度という観点から国別(第一著者の国籍)の投稿数(図3)と国別のアクセス数(図4)をみると、いずれも特定の国に偏っていることがわかる。今後、本会学術誌の海外における認知度の向上も大きな課題である。

学術誌の価値向上に向けた施策

本会学術誌の価値を向上していくために、2016年度編修理事会では、編修期間の短縮と認知度の向上施策を検討した。編修期間の短縮のため、エディタの権限の強化や校閲依頼方法の変更などを行い迅速な編修作業を進めていくこととなった。そのため、2017年度から委嘱による校閲委員制度を廃止し、校閲協力制度に変更する。電子ジャーナルである利点を活かし、投稿から可決までの編修期間を平均100日以下とすることを目指す。
認知度の向上策としては、本会の学術誌が、信頼性が高く(専門家によるピアレビュー)著者負担額も少ないオープンアクセスジャーナルであることを海外も含め広報していく。オープンアクセスジャーナルに対する期待は、世界規模で急速に拡大している。海外商業誌による電子ジャーナルの寡占と購読料高騰の問題だけでなく、オープンサイエンスなどオープンイノベーションを生み出すために研究成果のオープン化が重要と考えられているためである。公的資金による研究開発成果をオープンアクセスジャーナルで公開することを義務づける動きは世界レベルで加速している。日本機械学会が責任を持って編修を行い、営利目的の商業誌と比べ格段に廉価な掲載料で運営している本会学術誌の存在価値が、今後高まって行くことが期待される。

論文アクセスランキング

日本機械学会学術誌に対する本会会員の関心を高め、投稿数の増加及びアクセス数の増加を図るため、会誌に論文アクセスランキングを定期的に掲載することとした。論文アクセスランキングとは、各論文の書誌事項へのアクセス数の所定期間の累計を多い順に並べたものである。本号(2017年1月号)では英文誌の通算ランキングとして、データが揃っている2012年11月以降(2016年10月まで)のアクセス数のトップ10 ランキングとベスト3論文のアブストラクトを掲載する。次号(2017年2月号)では同期間の和文誌通算ランキングを掲載する。4月号以降は、英文誌、和文誌の年間アクセスランキングを3ヶ月毎に掲載していく。また、ダウンロード数のランキングや分野毎のアクセスランキングなどの掲載についても検討していく。
このようなランキングは、必ずしも論文の質や重要性を表すものではないが、論文アクセスランキングにより本会学術誌に対する会員諸氏の関心が高まり、本会学術誌の価値の向上につながれば幸いである。

 

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