日本機械学会サイト

目次に戻る

2017/8 Vol.120

未来型かかし「Farmer」ファーマー
村越 水 さん(当時 14 歳)
本来、鳥から農作物を守るために建てられた‘かかし’ですが、もっと有効に活用しようと考えました。
笠の先端にはスプリンクラーが設置され水を自動的に放出します。笠が回り、鈴を鳴らして農作物を熊や鳥か
ら守ります。
腕から提げられた取り外し可能な籠は、収穫した野菜の重さを測ることができます。
両腕の先端は防犯カメラで 360 度監視します。カメラはもちろん‘かかし’の胴体も回ります。
異常があれば口に模したスピーカーからサイレンが鳴ります。
‘かかし’の背中にあるボックスに生ゴミや抜いた雑草を入れてセットすると堆肥になって出てきます。
これらはコンピュータ機能で管理し、笠に設置された太陽光の電気により動きます。

バックナンバー

特集 2017年度 年次大会

若手の会・埼玉大学先端産業国際ラボラトリー合同企画 事前知識不要!はじめてのDeep Learning ~表情を学習して車両を動かそう~

Deep Learning の広がり
ビッグデータの学習によって何を手にするのか?

ビッグデータの取得が進む現在、入力と出力の膨大なデータセットを目の前にして私たちは何を考えるだろうか?直感的には関係がなさそうな複数のデータセットにも、私たちが気付いていない何らかの法則やルールが存在しているかもしれない。こうした課題に直面した時、大きな手助けとなるのがDeep Learning(深層学習)である(図1)。Deep Learningは単純な入出力のルールを持った人工ニューロンを深い階層で大規模に結合し、この大規模ネットワーク全体としての入出力関係がデータセットの入出力と整合するように、人工ニューロンの結合などを学習する機械学習の一種である。学習された大規模ネットワークは、任意のデータ入力に対しても獲得したルールに基づいて答えを出してくれる。

図1 Deep Learning のイメージ

たとえば、私たちが犬の画像を見たときに、私たちはすぐに犬とわかる。しかし、コンピュータにとって犬の画像は単なるピクセルデータの集合であって、そこには「犬」という情報は一切記載されていない。これに対して、ピクセルデータの組み合わせから、私たちが脳内に蓄積した犬を判別する知識と同じようなルールが存在すれば、コンピュータも犬を判別できる(図2)。この知識の獲得を可能にするのがDeep Learning である。この他にも、脳波の膨大な時系列データを入力としてヒトの感情を推定するような知識を学習できるかもしれないし、不確かさなどを含む複雑な機械システムの入出力関係を表現できるかもしれない。こうした強力な学習能力を有するDeep Learning は自動運転や自然言語処理などの分野での利用が進んでいる。

図2 Deep Learning による知識の獲得

「若手の会」では、埼玉大学先端産業国際ラボラトリーのご協力の下、「Deep Learning に興味があるが使ったことがない」「どこから手を付けていいか迷っている」という方を対象に、Deep Learning の世界に一歩を踏み出す機会を提供すべく本イベントを企画した。

実習の内容
Deep Learning への一歩を踏み出そう

本企画では、Deep Learning を用いた機器のユーザーインターフェースについて体験することを目的とし、画像認識の分野で活用される畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による「顔の向きや表情による車いす制御」について取り組む。本企画では、人間の顔の向きなどをCNNで識別して、電動車いすを動作させることを試みる。図3のように、電動車いすに着座した被験者の顔をウェブカメラで撮影し、顔の向きなどを識別した結果に対応してリアルタイムで電動車いすを動作させる。実習当日は、画像の高速計算が可能なGPUを搭載したPC を用いて、Deep Learning を行い、電動車いすを制御させる予定である。

図3 システム概要


[<正員>竹村 研治郎(慶應義塾大学)]
[<フェロー>綿貫 啓一(埼玉大学)


「若手の会」(YMM: Young Members Meeting)は、若手技術者にとっての魅力度向上策を若手自らに提案してもらうことを目的に、2015 年7 月に理事会直下の臨時委員会として設置された。


 

キーワード: