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2017/8 Vol.120

未来型かかし「Farmer」ファーマー
村越 水 さん(当時 14 歳)
本来、鳥から農作物を守るために建てられた‘かかし’ですが、もっと有効に活用しようと考えました。
笠の先端にはスプリンクラーが設置され水を自動的に放出します。笠が回り、鈴を鳴らして農作物を熊や鳥か
ら守ります。
腕から提げられた取り外し可能な籠は、収穫した野菜の重さを測ることができます。
両腕の先端は防犯カメラで 360 度監視します。カメラはもちろん‘かかし’の胴体も回ります。
異常があれば口に模したスピーカーからサイレンが鳴ります。
‘かかし’の背中にあるボックスに生ゴミや抜いた雑草を入れてセットすると堆肥になって出てきます。
これらはコンピュータ機能で管理し、笠に設置された太陽光の電気により動きます。

バックナンバー

おもしろイベント報告

ドローンの操縦にチャレンジ!/スチロール容器で風力発電機を作る!

話題の機械に触れてみよう!
ドローンの操縦にチャレンジ!

「機械を操作して楽しめる」を皆さんにも

ドローンは、夢の技術。これまでもラジコンのヘリコプターはあった。しかし、このラジコンヘリコプターの操縦は非常に難しく、操縦を少し間違えるとすぐに墜落。そのたびに、修理費がかさんだ。ラジコンヘリは、一部のラジコンマニアだけが楽しめる、高価な遊びだった。しかし、現在のドローンは、四つ以上のローターとPCによる自動制御のおかげで、かなり「安定して飛行する無人航空機」となった。

この「安定した飛行をする無人航空機」の用途はかなり広がっている。撮影カメラを搭載すれば、空からの撮影が自由にできる。そして、産業利用の拡大も望まれている。通販大手のアマゾンは、このドローンを宅配に替わる輸送システムとしての利用を研究中。宅配便や郵便による配達では、人力に頼る部分が大きく、一部業者への負担の増大が社会問題化している。しかし、ドローンによる配達は、人力を使わず、交通渋滞も引き起こさず、空から品物を届けられるのだ。このように、現在大注目の機械である。また、現在は、製品として比較的容易に入手できるといった面もある。このドローンだが、「機械を操作して楽しめる」という点を重視して、本イベントを企画した。

雨天のため、教室内での飛行体験

本イベントは、鹿児島工業高等専門学校の文化祭にて機械工学の振興および本学機械工学科の紹介を狙いとして開催された。飛行体験会の当日は雨天であったため、教室内での飛行体験となった。

まずはじめに、学生・教員がポスターを使用してドローンに関する基礎知識や飛行原理を説明し、続いて機械工学との関連を説明した。次に10分弱の飛行体験へと進んだ。操縦者が小学生の場合には、習熟度の高い学生がコントローラに手を添えて一緒に操作。子供たちも、安心して安全性を重視した操作方法を憶えることができたようであった。

実施上の反省だが、ドローンの操縦は、今回のように比較的短時間で習熟度を上げることが難しかった。「上昇させて旋回させる」というところくらいまでが、初めての人には適切なレベル設定だと思われる。また、今回は天候の都合で、教室内での実施となったが、体育館などの広い空間での実施が望ましいと感じられた。

保護者が応援する中で、子供たちが操作に挑戦

参加者は、小学生児童を含む家族やグループが多かった。事前の説明は皆で聞き、飛行体験は児童が行い、保護者は応援というケースが多かった。子供たちが操縦になれ、だんだんうまく飛行できるようになると、自然と拍手や感嘆の声が出るなど、非常に良い雰囲気で実施することができた。

28名が飛行体験を行い、最後にアンケートに答えてくれた。結果は、28名全員が、「飛行体験は楽しかった」。17名が「ポスターの説明でドローンの仕組みが分かった」。13名が「飛行体験を通して、機械工学に興味を持った」。このように、楽しみながら機械工学に興味を持ってもらえたようである。また、偶然ではあると思うが、面白いことに飛行体験希望者は男子児童よりも女子児童が多かった。今後もドローンを有効に活用できる企画を立てて、「機械を操作する楽しみ」を、そしてゆくゆくは「作る楽しみ・考える楽しみ」を伝えていきたいと考えている。

ポスターでドローンの仕組みを説明

学生のアドバイスを聞きながら旋回にも挑戦

塚本 公秀
(鹿児島工業高等専門学校)


身近な材料を使い、ゼロから始めるものづくり
スチロール容器で
風力発電機を作る!

扇風機の風に当てて発電実験

ものづくりの楽しさを伝えたい

このイベント報告ページで、風力発電機を作るイベントを紹介するのは、今回が2回目になる。風力発電は、子供にとって親しみやすく、同時に科学性・話題性も高いテーマである。今回紹介するイベントの特徴は、身の回りにある材料を使って、風力発電機を作ろうということ。その身近な材料とは、発泡スチロール製の食品トレイ。スーパーマーケットなどで魚や肉などを入れてある、あの白いお皿だ。このお皿で、風力発電機の風車のブレードを作る。この作業を子供たちにゼロからやってもらった。

現代の子供たちは物を作る経験が少ない。昔と違い、木を切って何かを作るという経験をしている子供は少ない。また、ナイフでものを切るという機会も少ない。手や指先の器用さを育てる遊び自体が減っている。子供はテレビを見て、絵本を見て、ゲームをして遊ぶ。親がスマホで小さい子供を遊ばせることも多くなっている。こうした生活の結果、子供の筆圧は弱くなっていて、小学一年生が使う鉛筆は、6Bが当たり前になっている。そんな子供たちに「切って、削って、曲げて、ものを作る楽しさ」を経験してもらいたいと考えた。

まず、材料を切るところから

東京工業高等専門学校機械工学科の教室に、20名の小中学生が集まった。始めの作業は、トレイからブレード2枚と方向翼を切り出すこと。カッターナイフを使い、ブレードの形に切ってもらう。第2段階は、紙やすりを使い、ブレードの形を整える。前縁は丸く、後縁は鋭くする。そして第3段階は、ブレードをねじる作業。ブレードはハブの設置角度が30° だが、先端近くに向かって徐々にその角度が減少するようにしたい。そのために、ドライヤーの熱でスチロールを変形させるのだ。

発泡スチロールのトレイをカッターナイフで切る作業は、ナイフを使い慣れた人間にとっては難しい作業ではないが、子供によっては経験のない作業であり、真剣に取り組んでいた。
また、ブレードに熱を加えて変形させる工程は、熱の加え方の調節が難しく、失敗を繰り返しながらも、熱心に取り組んでいた。

次に、組み立て作業。事前に500ml ペットボトル・XIKIT 発電機・LED・風車ブレード用ハブなどを用意し、はんだ付け・加工などの作業をしておいた。子供たちには、風車ブレードをハブに両面テープで貼り付けるなどの組み立て作業をしてもらった。

子供たちの歓声と、学生たちの感動

完成後は、いよいよ実験。扇風機の風に当てたり早歩きしたりして、風車を回し発電。子供たちはLED が光るのを見て、歓声を上げていた。自作した発電機で発電できていることに素直に感動し、同時に、風力発電の原理を理解してくれたようだ。子供たちの目は、LED 以上に輝いていた。また、準備作業・補助作業をしてくれた学生たちも子供たちの輝く目を見て、やりがいを感じてくれたようであった。

この場を借りて、ご協力いただいた皆さんにお礼を申し上げる。有り難うございました。

清水 昭博(東京工業高等専門学校)

ハブ 傾斜表面に風車ブレードを貼り付けた

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