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2018/8 Vol.121

【表紙の絵】
いつでもどこでもプリンプリン
塚本 拓心 くん(当時5歳)
ぼくはプリンが大好きです。いつでもどこでも食べることができるように、プリンを作る機械を考えました。牛さんからミルクをもらって、鶏さんから卵をもらってプリンを作ります。メロンののったプリンいちごののったプリン…が出てきます。「いただきます。パクパク。」あ~うれしいな、しあわせだな。

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特集 2018年度 年次大会

知識と技術を研鑽する年次大会

はじめに

もちろん機械学会は、機械を生業とする多くの技術者・研究者がその知識を共有し議論することを第一の目的とするものです。本年度は、1,208件の講演申し込みをうけ、オーガナイズドセッション、ジョイントセッション、ワークショップと種々企画を行います。最新情報は適時大会ホームページを更新していきますので、ぜひ一度覗いてみてください。

特別講演

本年度は特別講演として、大会キャッチフレーズである『多様化する社会・技術への機械技術者の挑戦』を意識して、川崎重工業の橋本康彦様と東北大学の小谷元子先生に話題提供をお願いしました。

橋本様は川崎重工業入社以来ロボットの設計技術者としてさまざまなロボット開発に携わってこられた生粋のロボット技術者で、ロボットビジネスセンター長や(株)メディカロイドの社長を経て、現在は取締役常務執行役員として、精密機械・ロボットカンパニープレジデントを務められています。言うまでもなくロボットの活用は今後不可欠となるだけではなく、単なる人からの置き換えではない新しい展開を生み出します。

小谷先生の専門は数学ですが、現在は東北大学の材料科学高等研究所所長を兼任されています。数学者も海外では純粋数学の枠から出て産業界との接点を探す動きが活発化していますが、数学に対して強い拒絶反応を示さない機械技術者との新しい展開は双方に新たな視点を生み出すものと思います。

お二方とは特別講演依頼時に、ご多忙の中、時間を作っていただいて、こちらの趣旨説明とともに提供いただく話題の方向性を相談いたしましたが、どちらも話題が豊富で時間内にどう収めていただくかが最大の問題のように感じました。特別講演は、年次大会において並行する企画を全て止めて実施する唯一の企画となります。お二方に作成いただきましたアブストラクトを以下に掲載しますが、書き切れていない内容もたくさんありますので、どんな展開になるのか当日ご聴講いただければ幸いです。なお、本特別講演も市民公開行事となりますので、年次大会参加者以外の方でも自由に聴講できます。PRも含めてご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

「ロボットと共存する日本の将来社会に向けて−少子高齢化/多様化する社会における新たなロボットのあり方−

9月11日(火) 15:10-16:00

はじめに、日本における労働の現状とロボットへの期待を紹介する。そして、世界と日本のロボットの発展と、現在の産業用ロボットの適用事例を説明する。その後、これからの日本の社会を支えるための提案として、最新の人共存型ロボットduAro、技能伝承型ロボットシステムSuccessor、ヒューマノイドロボット、医療ヘルスケアロボットを紹介すると同時に、ロボットの技術者に求められる機械技術、将来社会についての意見を述べさせていただく。

橋本 康彦 氏

川崎重工業(株)

取締役 常務執行役員

精密機械・ロボットカンパニープレジデント

1981年 東京大学工学部産業機械工学科卒業


「数学と諸分野・産業との連携への挑戦」

9月11日(火) 16:10-17:00

数学は数学内部の問題意識を深めて数学理論を深化する時期と外からの刺激を受けて新たな展開する時期を交互に繰り返しながら発展してきた。20世紀後半は数学の構造化・再構築の時期であり、抽象的理論体系が確立した。その結果、それまで数学では手の届かなかった複雑な現象を扱う道具が開発された。一方で、諸分野・産業界においても高性能コンピューティングや情報化が進む中、それを数理モデル化したいという要望が高まってきた。21世紀は数学と諸分野・産業との連携への新たな挑戦が世界で始まっている。この講演では自分の体験である材料科学との連携も含めて世界的な動向を紹介する。

小谷 元子 教授

東北大学原子分子材料科学高等研究機構長 兼 大学院理学研究科数学専攻教授、東北大学総長特別補佐、副理事(研究担当)

1983年東京大学理学部数学科卒業

1985年東京都立大学大学院理学研究科修士課程修了


公開座談会「多様化する社会・技術への機械技術者の挑戦」

9月11日(火) 17:10-17:50

単なる各部門の企画の集合体ではなく、機械学会全体で実施する会議としての年次大会をどう色付けするかというのは実行委員会の一つの課題でもあります。前年の埼玉大会では、大会テーマごとにゾーン分けするということで、統一感を持たせる試みを行いました。本年度は各部門へ企画検討を依頼するにあたって、大会テーマを極力意識してほしいという要望は出しましたが、プログラム作成時の自由度を確保するために強制は行わず、ゾーン分けも実施しませんでした。その代わりに本年度年次大会の実行委員会立ち上げ時より検討を続けてきたのが、全部門参加型のパネルディスカッションの実施でした。この案のもと、大会テーマを題材とした学会主導の実施案をいくつか検討してきましたが、テーマがまとめきれず、物理的にプログラムが組めないとの判断で、公開座談会という形を取らせていただきました。

特別講演講師のお二方に加え佐々木会長、関西支部から田中関西支部長にご登壇いただき座談会を行います。なお特別講演の前には後述の「日本機械学会の将来を考える(多様化する社会・技術への挑戦)」も新生「日本機械学会あり方」検討委員会企画として実施されます。どう話題設定するかは登壇者の追加も含めて、当日に向けて煮詰めてまいりますが、現段階でも、企業-大学、男性-女性、機械学会員-非学会員、部門長経験者、支部長経験者とバリエーションに富んでいます。今回の実行委員会が仕掛ける最大の試みでもあります。格安に設定した懇親会での分野を超えた交流の話のネタになれば成功との考えで実施いたしますので、ぜひ一人でも多くの方の参加をお願い申し上げます。

基調講演

年次大会では各部門、各委員会で種々企画を考えていただいており、プログラムを細かく見ていただければきっと興味の持てる企画がいくつも見つかるものと思います。全ての面白さをこの紙面で余すことなく伝えることは実行委員会では力不足。ここでは基調講演のタイトルを示させていただきます。残念ながら同一時間帯に多くの講演が開催されるため、基調講演を梯子するようなスケジュールを組めるようなプログラム構成にはなっていませんが、時間が許せば普段接点のない部門の一端を垣間見ていただければと思います。

9月10日(月)

10:00-11:00 設計工学・システム部門

ウェルビーイングを目指すシステム設計/大久保 雅史(同志社大学)

13:00-13:45 産業・化学機械と安全部門

安全と会社経営/太田 進 (東レエンジニアリング)

13:00-13:45 交通・物流部門/機械力学・計測制御部門

自動運転技術の進化〜リスク予測と人間機械協調技術/ポンサトーン ラクシンチャラーンサク(東京農工大学)

13:00-14:00 動力エネルギーシステム部門

原子力に対する認識の変遷/梅川 尚嗣(関西大学)

13:00-14:00 機素潤滑設計部門

歯車機講論−Litvin’s Theory of Gearing の活用法−/森脇 一郎(京都工芸繊維大学)

13:30-14:30 バイオエンジニアリング部門 

脳腫瘍の診断技術、発生因子の解析と治療応用/篠山 隆司(神戸大学付属病院)

13:30-14:30 機械材料・材料加工部門

AE法によるミクロ損傷の評価−材料・デバイス・生体への応用−/若山 修一(首都大学東京)

13:30-14:30 エンジンシステム部門

燃料噴霧内の蒸気相・液相濃度分布の分離計測/西田 恵哉(広島大学)

13:30-14:30 情報・知能・精密機器部門

圧電薄膜技術:基礎研究から実用化まで/神野 伊策(神戸大学)

15:00-15:45 交通・物流部門/機械力学・計測制御部門

研究者から見た自動車の自動運転の課題の考察/大前 学(慶應義塾大学)

15:00-16:00 流体工学部門

バイオミメティクスで流れを掴む技術の開発/望月 修(東洋大学)

16:00-17:00 ロボティクス・メカトロニクス部門

医療・バイオに展開するロボティクス・メカトロニクス/小俣 透(東京工業大学)

9月11日(火)

10:45-11:45 機素潤滑設計部門

空気圧駆動によるヒューマンサポートシステムの構築/高岩 昌弘(徳島大学)

11:15-12:15 機械材料・材料加工部門

航空機向け接着技術適用に向けた課題と取り組み/清水 隆之(三菱重工業)

13:30-14:30 機素潤滑設計部門

熱アシスト磁気記録におけるヘッドディスクインタフェースのナノトライボロジー/多川 則男(関西大学)

14:00-15:00 マイクロ・ナノ工学部門

高付加価値電源としてのマイクロエネルギー/鈴木 雄二(東京大学)

 

2018年度 年次大会 実行委員会

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