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2018/8 Vol.121

【表紙の絵】
いつでもどこでもプリンプリン
塚本 拓心 くん(当時5歳)
ぼくはプリンが大好きです。いつでもどこでも食べることができるように、プリンを作る機械を考えました。牛さんからミルクをもらって、鶏さんから卵をもらってプリンを作ります。メロンののったプリンいちごののったプリン…が出てきます。「いただきます。パクパク。」あ~うれしいな、しあわせだな。

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おもしろイベント報告

ロボットの鉄人!? ロボット・トライアスロン2017 小樽大会

図1 第17回大会の競技コース

 

トライアスロンといえば、水泳、自転車、長距離走の3種目を一人でこなす競技であり、最も過酷なものはアイアンマン(鉄人)レースと呼ばれています。ロボット・トライアスロンも、1台の自律ロボットが3種目をこなす競技です。大学生や大学院生が、それぞれに工夫を凝らしたロボットを作って参加します。さすがに水泳や自転車の種目はありませんが、1台で複数の課題をこなすには、ハードウェアとソフトウェアの両面でタフさが要求されます。ここではその鉄人ぶりをご紹介しましょう。

競技ルールの概要

図1は第17回ロボット・トライアスロンの競技コースです。まずベースとなる種目はライントレースです。緑色のターポリンシート上に貼った黒いビニルテープのガイドラインをロボットが辿ります。コース序盤の迷いの森は障害物回避の種目です。プラスチック製のボーリングピンを倒さないように進路を変えてエリアを通過します図2。コースの最後には玉入れ種目が待っています。供給装置からピンポン球を補給し、玉入れのミニコーンに投球します図3。競技成績は走行タイムにペナルティタイムを加算し、ボーナスタイムを減じた総合タイムで競います。ペナルティタイムはコースから逸れたり、ボーリングピンを倒したりすると与えられます。ボーナスタイムはミニコーンに投入したピンポン玉の数で決まります。玉入れ機構の搭載は難易度が高く、せっかく作っても思いどおりに動かないこともあります。初心者も気軽に参加できるように、ボーナスタイムを諦めて玉入れ種目をスキップできるルールにしています。数年に一度は、新しい種目に入替えて、競技全体の難易度を調整しています。

図2 迷いの森ではピンを倒さないように進む

 

図3 ピンポン玉を補給し、玉入れに投入

標準ロボットキット

もともとロボット・トライアスロンは室蘭工業大学の大学祭を盛り上げようと有志の教員により企画されました。その際、専門知識を持たない学生も製作できるように、安価な部品で構成した標準ロボットが考案されました。標準ロボットはライントレースセンサと測距センサを備えていて、それのみでコースを完走できる仕様になっています。これを道内の大学生に使っていただき、第2回大会からは、複数の大学から参加者が集まる大会となりました。

第17回小樽大会の結果

第17回大会はロボット・トライアスロン史上初めて小樽市で開催されました。北海道職業能力開発大学校の体育館を会場として、七つの教育機関から31チーム84名が参加しました。全体で7チームが玉入れに成功し、最高で22個を入れるチームもありました。ただ、玉入れが負担になっているのか完走率は50%程度でした。図4に、競技後の集合写真を示します。

北海道でこのような規模で開催している大学生向けのロボコンは珍しく、今後とも学生の技術の研鑽と交流の場として貢献できたらと思っています。

図4 集合写真

 

花島 直彦(室蘭工業大学 大学院)

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