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2018/10 Vol.121

A mine arms
菅原 紡宜 くん(当時11 歳)
深海の生物と共生して、生態の謎を解き、深海生物の不思議な力を集めて、地上で使える新しいエネルギーに変換できる機械。
地底からレアメタルを採掘したり、海底火山の調査から地震を予知することもできる機械。

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特集 地球環境の変化を知る―技術はどのように貢献するか―

ロボティックボート実証機の開発

杉浦 恒〔ヤンマー(株)〕

マリンロボティクスの現状

研究段階から実証、実用段階へ

自動車の自動運転の著しい進歩、空の産業革命と言われる、いわゆるドローンの活況に続いて、海のドローンすなわちマリンロボティクス、特に船舶の航行/作業に対する自動化自律化の期待が高まっている。この分野は、これまでは研究段階の実験船や軍事関連を除くと、海洋での石油・ガスの採掘に伴う設備のメンテナンスや、海洋・湖沼の観測データ取得などでの使用にとどまっていた。しかし、近年は大型の無人運搬船の実用を目指した開発が進んでおり、例えばノルウェーのヤラインターナショナル社は2022年までに自社の二つの港の間を無人で輸送する船の実現を目指すとしている(1)。またロールスロイス社は将来の大洋横断の自律運搬船の実現を目指し実証実験を重ねている(2)

国内では政府の未来投資戦略2017の中で2025年までに自動運航船を実現し、法律の改正とともに先進船舶250隻程度を導入することを目指すとしており、これに伴い国土交通省からは自動運航船のロードマップおよび自律化レベルが示されている(3)。さらに先進船舶技術研究開発支援事業(i-Shipping)を通じて今年度から自動運航船の実証事業を開始している(4)

これらは主に世界的に逼迫が予想される海運需要に対応するためのコンテナ船などの大型船の省人化、安全性向上を狙ったものである。一方で大型船による海運以外にも高齢化する漁業従事者へのサポートや、漁業に代わる養殖の自動化、離島への物流などの分野では自動/自律で航行する小型船への期待も高い。本稿では海底資源調査支援を目的とした小型のASV(Autonomous Surface Vehicle)実証機、通称ロボティックボートの開発について紹介する。

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