日本機械学会サイト

目次に戻る

2018/10 Vol.121

A mine arms
菅原 紡宜 くん(当時11 歳)
深海の生物と共生して、生態の謎を解き、深海生物の不思議な力を集めて、地上で使える新しいエネルギーに変換できる機械。
地底からレアメタルを採掘したり、海底火山の調査から地震を予知することもできる機械。

バックナンバー

機械遺産が語る日本の機械技術史

第8回 生活関連機械

はじめに

生活関連機械とは、多様な技術分野を総合して生活者に新鮮な驚きを与えてきた機械群の分類である。生活関連機械の対象範囲は幅広く、特定の技術分野の発達史として捉えることは難しいが、本稿では、機械遺産の中から我々の生活に関連の深いものを生活関連機械と位置づけ、その機械技術史的な意義づけを解説する。

古くは江戸時代の木製機械やからくりに始まり、明治から戦前にかけて時計などの精密機械、光学機械が発達した。そして戦後は動力化とメカトロニクスの進展による多様な機械が身の回りにあふれている。この分類で指定された機械遺産は広い時代範囲と分野にわたっているが、本稿ではさまざまな理由からMissing Linkとなっている分野についても考察する。

時代区分ごとの概観

第I期 手工業主体の時代(黒船来航まで)

江戸期には人力や水力による木製機械が主であった。旧金毘羅大芝居(金丸座)の廻り舞台と旋回機構(機械遺産No.39、1835年)は現在も利用される江戸期の木製大型機械の代表例である。小型機械ではぜんまい動力と歯車やカム機構を用いたからくりの技術が開花し、芝居興行や祭の山車などで人気を呼んでいた。その集大成が「からくり儀右衛門」こと田中久重によるからくり人形 弓曳き童子(図1 機械遺産No.61、19世紀前半)および万年自鳴鐘(機械遺産No.22、1851年)である。職人の手作りによる機械の極致を見ることができる。

図1 からくり人形 弓曳き童子(機械遺産No. 61、19世紀前半)

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちら

キーワード: