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2021/2 Vol.124

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

機構模型:差動歯車

年代未詳/真鍮、鉄、ガラス、木製台座/H310, W245, D235(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ一八五」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]

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技術のみちのり

産学連携が生み出した世界初の熱物性測定装置 名古屋大学・(株)ベテル

2019年度技術賞 「3次元熱拡散率測定に基づく非接触・非破壊繊維配向評価システムの開発」

炭素系複合材料の内部状態を知る新技術

2018年、名古屋大学と(株)ベテル ハドソン研究所(以下、ベテル)は、非接触・非破壊で繊維状態(配向・強度・疎密分布)を数分で調べることのできる繊維配向評価システムThermal Evaluation of Fiber Orientation Distribution(TEFOD)を世界で初めて開発した(図1)。その技術はどのようにして生まれたのだろうか。

図1 繊維配向同定評価装置(TEFOD)

炭素繊維と樹脂を混ぜた炭素系複合材料(炭素繊維強化プラスチック: CFRP)は金属より軽くて強度が高いので、燃費向上を目指す自動車の車体に使われるようになってきた。炭素繊維は連続繊維のまま使用すると強度は高いが、成形しにくいという欠点がある。そこで近年は、成形性に優れた不連続繊維(繊維を短く切ったもの)と樹脂を混ぜ、プレスして作った不連続繊維CFRPが注目されている。特に、不連続繊維熱可塑CFRP(CFRTP)は、成形時間が短いため量産に適していて、成形後も形状を変えられるのでリサイクルしやすいと期待されている新材料だ。しかし短い繊維を使っているため、繊維の向きが一方向に偏っていたり、繊維密度が不均一であったりする問題が発生し、局所的な強度の低下を招いている。繊維配向の評価にはX線CT法が使われるが、試料を小さく切断しなければならず、測定時間も長い。製造や研究開発といった場面では、CFRPの品質検査のために、非破壊で繊維の配向と分散状態を素早く知る手法が求められていた。

逆転の発想

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