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2019/4 Vol.122

【表紙の絵】
魚が空を飛べる「まく」をつけるそうち

山本 波璃 さん(当時9歳)

魚は水の中でしか、生活ができないけれど、 このそうちでまくの中に入ると、水の外で も生きていけます。そうすればいっしょに 魚たちと遊べます。

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バイオディーゼル(エンジンシステム)

【biodiesel fuel】

バイオマス資源を原料として製造された,ディーゼル機関用軽油代替燃料のこと.なかでも,動植物油脂(トリ・アシルグリセロール)と,メタノールのエステル交換によって得られる脂肪酸メチルエステル(Fatty Acid Methyl Ester; FAME)が,世界で最も普及しており,自動車用燃料規格も各国で制定されている(例えば JIS K2390,EN 14214 など).FAMEの原料油として,欧州では菜種油が,米国では大豆油が,東南アジアではパーム油が主に用いられている.また,油脂を水素化分解によって炭化水素に変換した水素化植物油(Hydro-treated Vegetable Oil; HVO)も,2010年頃から欧州を中心に生産量が増加しつつある.

セタン指数(エンジンシステム)

【cetane index】

ディーゼル燃料油の自己着火性を表す値のことで,JIS K 2280にその試験法が定められている.セタン価向上剤を含まないディーゼル燃料油においては,セタン価の代替として使用される.セタン指数は,15℃における密度,および常圧法による3点の蒸留流出温度(10容量%,50容量%および90容量%)から, セタン価との相関関係式を用いて算出する.

再生器(エンジンシステム)

【Regenerator】

一般的には,排熱を回収してエネルギ効率を上げる熱交換器を言う.定常的に排熱を回収する例である蒸気サイクルやガスタービンサイクルの再生熱交換器,節炭器もこれに該当するが,単に再生器と呼ぶことは少ない.一方,蓄熱を利用した再生熱交換器を,単に再生器と呼ぶことが多い.スターリングサイクルを構成するエンジン,冷凍機(パルス管冷凍機などを含む)で用いられる.スターリングサイクルでは,作動ガス体積がほぼ一定の冷却過程で作動ガスから蓄熱材に熱を蓄えて,同様の加熱過程でその熱を利用する.これを担う熱交換器が再生器である.再生器内には積層金網,流れに沿った薄板,多孔質体などの蓄熱材が充填される.工業炉で使用されるリジェネバーナも同じ原理の再生器を持つ.吸収式冷凍サイクルでも再生器が用いられるが,この再生器は水蒸気を吸収できるように溶液を高濃度にするものであり,前述の再生器とは全く異なる.

熱音響エンジン(エンジンシステム)

【Thermoacoustic Engine】

音波の伝ぱに伴う,気体の圧縮,膨張,位置変動を利用してエネルギー変換を行う装置.装置は管(内径数mmから数十cm,長さ数十cmから数m)と再生器(長さ数cm),二つの熱交換器で構成されており,可動部を有しない.(管の内部に熱交換器に挟まれた再生器が置かれている.)熱交換器を用いた加熱及び冷却により,再生器の両端に閾値以上の温度差をつけると,管内の流体がひとりでに振動をはじめ,音波が励起する.したがって,熱音響エンジンでは熱が音波の運ぶ(力学的な)エネルギーに変換される.1990年代後半からの研究により,熱から音の運ぶエネルギーへの変換効率は熱力学的上限値の50%に,音の運ぶエネルギーの密度は数百kW/m2に達している.利用可能な熱源の多様性,装置構造の単純さ,高効率の可能性といった特徴から,新しい熱機関として実用化を目指した研究が進められている.


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用語の追加や改訂を順次進めていますので、是非ご活用下さい。https://www.jsme.or.jp/publication/technical-data/

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