日本機械学会サイト

目次に戻る

2019/6 Vol.122

【表紙の絵】
ソーラーケータイじゅう電システム

石井 智悠 くん(当時8 歳)

この前あつかったので、ケータイがあっつくなっていたので「そのねつをうまくつかってじゅうでんできたらな。」と思ったのでこの絵を描きました。

バックナンバー

5G・IoT時代のキカイ

特集にあたり

日本機械学会WGメンバー

主査:松日楽 信人 (芝浦工業大学)
有坂 寿洋〔(株)日立製作所〕
尾崎 伸吾(横浜国立大学)
森永 英二(大阪大学)
小林 健一(明治大学)
高田 博(東京理科大学)
羽田 靖史(工学院大学)
松井 和己(横浜国立大学)
宮本 俊輔(コマツ)
久保田 裕二(日本機械学会)

電子情報通信学会WGメンバー

主査:新熊 亮一(京都大学
浅井 光太郎〔三菱電機(株)〕
加川 敏規(情報通信研究機構)
久保 亮吾(慶應義塾大学)
小林 健太郎(名古屋大学)
小林 由枝〔(株)富士通研究所〕
松永 泰彦〔日本電気(株)〕

海外では5Gの運用が始まるところで、通信速度が100倍速くなると連日話題になっている。海外と日本での映像の遅れがほとんどないとも紹介されている。機械にとってはどのような変化が起こるのであろうか。

昨年、電子情報通信学会より日本機械学会へ学会連携の話があった。日本機械学会でも他学会との連携を検討していたこともあり、即刻合同のWGが設置され具体化の検討が2018年6月より始まった。まずは、両学会の全国大会での合同企画セッションの開催と、両会誌で連動して特集号を組むことから始めることとなった。ここで新たな取り組みとしては両会誌特集号で同じコンテンツを掲載し、会員間で共有することとした。

本会においても、すでに関連するテーマの特集号「実用化迫る自動運転(2月号)、「空の産業革命(11月号)、「機械工学が拓くIoT技術(12月号)を2018年に発行していたが、他学会との具体的な連携は初めての試みである。大学や企業などにおいても、機械技術者と通信技術者の連携の場はたくさんあると思うが、プロジェクトなどでの連携が多いと考えられる。学会では学術分野、産業分野の研究者、技術者が自由に活動できることから、オープンに議論や意見交換ができる。そこからまた、学会発信としてプロジェクトや標準化などへ繋げていけば、より技術の発展を促し、会員にとってもメリットがある。どの学会においても会員減や会員サービスが問題になっているが、他学会と連携することで学会の価値を向上できると考える。

また、学会では細分化が進んでいるが、一方で、それらが生かされる製品をみると、シーズ側、ニーズ側からの議論が必要となる。細分化、統合は繰り返されるもので、技術と製品の関係でもある。製品にはいろいろな技術が必要となり、性能を向上しようとすれば高度な技術や研究成果の活用が必要である。

さて、本特集では移動通信の未来について、慶應義塾大学 大槻教授に紹介して頂いた後、ドローン、機械のメンテナンス、自動運転とSoceity5.0などとも関連が深く、現在も機械と通信との連携が進んでいる応用について、両学会の視点から12編の解説を頂いた。ドローンでは通信はまさに命綱、機械のメンテナンスや生産システムにおいては本会生産システム部門でも「つながる工場」として連携パネルディスカッションを2019年3月に実施、自動運転もクラウドやエコシステムとして捉えられている。機械システム側から通信技術への課題、通信側から現状・将来技術の機械システムへの適用性が呼応するような構成となれば、より両学会、両技術の連携が進むものと考えられる。また、電子情報通信学会安藤会長および日本機械学会森下会長からも連携、学会価値など現在の学会の課題が対談としてわかりやすく示されている。若手やシニアにとっても必読である。

2019年3月の電子情報通信学会総合大会での合同企画セッションでは、80名以上の参加があり盛会であった。技術講演の後、両学会の会長〔日本機械学会は佐々木会長(当時)〕にもパネルディスカッションに参加頂いた。次の日本機械学会年次大会(2019年9月)での企画セッションでは、更に互いの課題について深い議論になることを期待したい。

なお、5Gと機械において、電子情報通信学会との連携について日本機械学会では各部門に連携に関心があるかと投げかけた。残念ながら積極的に連携したいとの回答は少なかったが、通信が変わると機械のあり方は変わっていくはずである。この機会に実際の連携に繋がっていけば、連携企画者の一人として大変幸いである。

最後に両学会の発展を祈念するとともに、電子情報通信学会WG新熊主査をはじめ関係各位に感謝申し上げます。

日本機械学会「電子情報通信学会との連携検討WG」

主査 松日楽 信人(芝浦工業大学)

キーワード: