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2019/8 Vol.122

【表紙の絵】
れいにーうぉーくのぱたぱた
長谷川 遥 さん(当時6 歳)

雨の日にブルーになる気分や、ストレスで落ち込む現代の人たちの気分をいやしてくれるとっても自然のいいかおりのするスプレーをまきながらぱたぱた飛びながら空中散歩する人間をハッピーにする未来のマシーン

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特集 2019年度 年次大会

特別講演

秋田開催の年次大会における特別講演の企画に当たり、秋田に関係した方に日本機械学会の特別講演会としてふさわしい「技術やそのイノベーションについて考える機会を提供いただける講演」をお願いしたいと大変欲張りなことを考えました。そのような想いを込めて、工学と秋田の文化に関連した分野から次の2名の方に特別講演をお願いしたところ、快くお引き受けいただくことができました。

特別講演1の(株)豊田中央研究所 代表取締役所長 菊池 昇氏は、アメリカの大学における長年の研究や現職研究所での経験があります。国際的な視点から大学や企業の両方における研究・開発に関連して示唆に富んだお話が伺えるものと思います。先生には、「日本の将来を担う産業界や大学などの若手技術者・研究者の刺激となる講演」をお願いし、「イノベーション:風が吹けば桶屋が儲かる」の意味深い演題をいただきました。

特別講演2の新政酒造(株)代表取締役社長 佐藤 祐輔氏からは、「きょうかい6号酵母」についてお話を伺う機会があり、なぜ秋田が「酒どころ」と言われてきたか、そして、酒造りに技術的イノベーションがあったことを知りました。日本酒に関する歴史的背景を含めて、秋田の文化的魅力を広く知っていただきたく講演をお願いしました。そして、秋田の歴史的な背景を感じながら、次の懇親会も楽しんでいただきたいと思います。

このような一方的なお願いにも関わらず、お二方には、魅力的な講演題目とその講演概要をいただき、特別講演を楽しみにしているところです。

渋谷 嗣


「イノベーション:風が吹けば桶屋が儲かる」

(株)豊田中央研究所 代表取締役所長 菊池 昇

<概要>

研究においても産官学でイノベーションが求められるようになって久しい。とはいっても社会に受容されるイノベーションにつながる研究は難しい。この難題に米国の大学で研究していた時も、また日本の大きな企業研究所のマネージメントをやっている今も取り組んでいるが、未だ成功したことがない。ここでは、失敗に終わった多くの研究を振り返りながら、イノベーションに繋がる可能性がある研究はどのようなモノかについて、自動車業界にまつわる機械工学に関する領域を中心に述べたい。

<略歴>

1974年 東京工業大学 土木工学科卒業

1977年 テキサス大学オースチン校 航空工学・応用力学科博士課程修了

Member of National Academy of Engineering, USA、

トヨタ自動車(株)技監

 

 


「吟醸酒のふるさと秋田の魅力を探る」

新政酒造(株) 代表取締役社長 佐藤 祐輔

<概要>

広大な平野と良質な水、そして寒造りに適した気候に恵まれた秋田は、まさに酒造りの聖地である。現在の日本酒の基本的製法である「吟醸造り」は、秋田にて完成された手法と言える。「吟醸造り」は、清酒酵母の発見によって完成されたと言えるが、その中でも秋田の新政酒造において90年前に発見された「きょうかい6号酵母」によって低温発酵が可能になったことは、特に大きな技術的躍進であった。本講演では、秋田の日本酒に関する歴史的な背景を紹介しながら、秋田の酒の魅力や嗜み方を紹介する。

<略歴>

1974年、秋田市生まれ。秋田高校を経て、東京大学文学部へ進学。

卒業後は、編集プロダクション、web新聞社を経てフリーランスのジャーナリストとして独立。

2005年に日本酒に目覚め、2006年から独立行政法人・酒類総合研究所に入所。

2007年、新政酒造入社。2012年からは同社代表を務める。

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