会長挨拶
会長就任のご挨拶
DEIの理念のもと、多様性を力に、変革を牽引する学会へ

2026年度(第104期)会長
高木 周
近年、気候変動やエネルギー問題の深刻化、インフラの老朽化など、地球規模の社会的課題はますます複雑化・高度化しています。また、生成AIやデジタル技術の進展により産業構造も大きく変化しており、より良い未来社会の構築のために機械工学に求められる役割は従来にも増して広がっています。こうした課題に応えていくためには、従来の枠組みにとらわれない新たな発想と価値創出が不可欠です。さらに、社会の持続的発展を実現するためには、技術のみならず、人材や組織のあり方そのものも変革していく必要があります。
昨年、本学会はDEI(Diversity, Equity and Inclusion)宣言を掲げました。多様な専門性、多様な価値観を持つ人材を包摂し、それらを融合させることは、新しい知と技術を生み出す基盤となります。近年、国際社会において分断や対立が顕在化し、不安定さが増しています。このような状況においてこそ、多様な価値観と異なる社会的・文化的背景を持つ人々が相互に尊重し、協働する枠組みの重要性は一層高まっています。学術と技術の発展は、本来このような協働の上に成り立つものであり、DEIの理念は持続的な発展と安定を支える基盤であるといえます。また、多様な人材が交わることで、従来の延長線上にはない革新的な発想が生まれることも期待されます。多様性は単なる配慮ではなく、革新を生み出す源泉であり、本学会が社会の変革を牽引するための原動力そのものです。DEIの理念のもと、多様性を力に変え、機械工学の新たな可能性を切り拓いていくことが、本年度の基本方針です。
以上の認識のもと、2026年度は以下の3つの重点項目に取り組んでまいります。
1.社会課題解決に向けた分野連携の促進
エネルギー、環境、医療、情報などの分野と機械工学の関係はますます深化しており、単一分野での対応には限界があります。本会は22の多岐にわたる部門を持ち、分野の多様性にも富む学会であります。本会が異分野をつなぐハブとして機能し、多様な知の融合を通じて新たな価値を創出することで、社会課題の解決に貢献してまいります。さらに、アカデミア、産業界、他学協会との連携を一層強化し、社会実装を見据えた取り組みを推進してまいります。
2.支部活動のさらなる活性化と若手会員の増強に向けた施策の推進
地域に根ざした支部活動は、本学会の基盤を支える重要な要素であり、さまざまな規模の多くの企業の参画による支部活動のさらなる活性化は極めて重要な意味を持ちます。また、将来を担う若手人材から経験豊富なシニア人材まで、さまざまな世代の方々の参画促進は、学会の持続的発展の鍵を握っています。世代を超えて多様な背景を持つ人材が活躍できる環境を整備し、学会の魅力と価値の向上を図るとともに、若手が主体的に挑戦できる場の創出にも取り組んでまいります。
3.創立130周年を見据えた将来ビジョンの検討と基盤整備の開始
これまでの10年ビジョンを総括するとともに、次期ビジョンの策定に向けた準備を進めてまいります。また、情報部会と広報部会の再編による情報発信力の強化とその事業化、機械工学便覧の改訂に向けた執筆活動の開始に加え、未来へのロードマップの策定や記念事業の企画、技術者教育の体系化など、将来を見据えた取り組みを着実に進めてまいります。
本会がこれからも社会に新たな価値を提供し続けるためには、多様な人材と多様な知の結集により、挑戦を生み出し続けることが不可欠です。DEIの理念のもと、多様性を力に変え、変革を牽引する学会として、機械工学の未来を切り拓いてまいります。
会員の皆様におかれましては、引き続きご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
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