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2026/5 Vol.129

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深層断面 JSME EDITION

米脱炭素市場、混乱続く日本企業、世界と“ 二兎追い”

松木 喬・村上 毅・曽谷 絵里子(日刊工業新聞社)

日刊工業新聞 深層断面
JSME EDITION


国際協調への影響懸念

米国の脱炭素市場の混乱が収まらない。第2次トランプ政権は気候変動政策(図1)を次々と覆し、2025年だけで約5兆円の脱炭素プロジェクトが消失した。米国は温暖化対策のルールを決める気候変動枠組み条約からの脱退も表明しており、国際協調体制への影響が懸念されている。混乱の間隙かんげきを縫って中国が脱炭素で存在感を増す。日本企業は、米国市場と世界市場の二兎にとを追う厳しい局面に立たされた。

図1 第二次トランプ政権発足以降の気候変動関連対策の動向

EV、戦略変更余儀なく 補助・優遇撤回

米国では単語の言い換えが“ビジネス作法”になっている。「ESG(環境・社会・企業統治)」は「サステナビリティー(持続可能性)」への変換が多い。ESGを嫌う政権からの攻撃を警戒し、言葉を選んでいる。

損害保険ジャパンの西沢敬二顧問(元社長・会長)は現地で言い換えに遭遇した。25年10月、経団連の使節団として訪米した際、面会した経済関係者が「クライメート・チェンジ(気候変動)」を「レジリエンス(復元力)」と言っていたという。ただ、「サステナビリティーへの取組みは下火ではなかった」(西沢顧問)。経営者の意識では、ESGや気候変動が退潮はしていないようだ。

だが、ビジネスはダメージを受けている。米経営者団体のE2によると、米国で25年に中止や延期、縮小に追い込まれたクリーンエネルギー事業は348億ドル(約5兆円)。24年の14倍に上る。トランプ政権が気候変動対策への補助や優遇を撤回した影響だ。直近では温室効果ガス(GHG)を「危険」とした認定を撤回した。自動車や発電所、ガス・石油生産に対するGHG排出規制は効力がなくなると言われている。

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