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2026/5 Vol.129

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会長挨拶

会長退任のご挨拶 

2025年度(第103期)会長 岩城 智香子

今期を振り返って

2025年度(第103期)会長
岩城 智香子

今期は、本会の存在価値を一層高めることを目的に、「魅力を高め、発信する学会へ」を基本方針として掲げ、理事会および事務局を中心に、会員の皆様のご協力のもと、各種施策に取り組んでまいりました。日頃より本会活動を支えてくださっている多くの会員の皆様に、心より御礼申し上げます。今期の主な取り組みを振り返り、その概要をご報告いたします。

まず全体状況として、会員数は2026年2月末時点で30,520名となり、前年同月比で186名の減少となりました。今期は先期に引き続き学生員数が増加したこともあり、会員減少の傾向は緩和されつつありますが、この動向については引き続き分析を行い、注視していく必要があると考えています。いずれにしても、会員の皆様にとっての学会価値を高めること、そしてその価値を発信していくことは、引き続き重要な課題であると認識しています。一方、財務面では、部門および支部において活発な事業活動が展開され、経常収益・経常費用ともに前年度を上回りました。経常収支は僅かな赤字となりましたが、中長期的な事業活性化を見据えて計画的に編成した赤字予算のもと、概ね計画どおり、事業強化に資する支出を行うことができました。

「魅力向上」については、工学分野のリーディングソサイエティとして、社会課題の解決に貢献する役割を本会の中核的価値に据え、各種施策を推進しました。年次大会は、異分野の技術者・研究者が交流と議論を深める本会を象徴する場として、本年度は約2,600名が参加し、例年以上に活気ある大会となりました。部門連携セッションや学会・企業連携企画の充実により、「年次大会ならではの価値」を重視した取り組みが着実に成果を上げ、大会の在り方も大きく変化しつつあることを実感しています。また、学会横断テーマが新たに1件立ち上がり、既存テーマとあわせて、多角的な視点からの知見創出に向けた活動が進展しました。

企業会員にとっての価値向上にも継続的に注力してきました。今期より募集を開始した「優秀技術者表彰」では63名が受賞し、受賞者名が新聞にも掲載されるなど、多くの反響と喜びの声が寄せられています。本表彰は、機械技術者の社会的評価を高め、その価値を社会に広く伝える意義ある取り組みとして、今後も育てていきたいと考えています。特別員各社におかれましては、引き続き積極的なご推薦を賜れますと幸いです。

「発信力強化」については、機械工学の最前線を社会に広く届けることを目的として、体制整備および基盤構築に注力しました。社会の期待を踏まえた発信の在り方について議論を重ね、課題と今後の方向性を整理する一年となりました。情報基盤強化の取り組みとしては、「やさしいテキストシリーズ」を追加刊行したほか、発刊から年月の経っている一部の図書については電子化し、その閲覧・販売プラットフォーム構築を含む新たな情報発信手段を整備しました。これにより、本会が長年培ってきた知的資産を、より幅広い層へ届けるための環境が着実に整いつつあります。あわせて、広報・情報関連施策を全体戦略のもとで有機的に連携させるため、関連組織の再編を行い、発信力強化に向けた体制整備を進めました。

さらに、本会の安定的かつ持続的な発展に向けた取り組みとして、多様性推進を戦略的に進めるため「DEI推進委員会」を新設し、活動を開始しました。DEI宣言の発信や会誌連載企画を通じ、多様性を学会の力へとつなげていくための基盤づくりが一歩前進したものと考えています。将来を担う若手会員への支援としては、「若手会員育成事業」を新設し、助成を開始しました。支部活動についても、地域に根差した重要な役割を改めて確認しつつ、それぞれの特性を生かした効率的で活力ある運営を目指し、議論を重ねてきました。これらはいずれも、本会の中長期的な発展に欠かせない重要な取り組みと認識しています。

国際情勢の不安定化や社会構造の急速な変化など、先行きの不確実性が高まる中において、学術と技術の果たす役割は一層重要性を増しています。本会としても、社会との対話を深めながら、持続可能な社会の実現に貢献していくことが求められています。今後とも、会員の皆様の変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

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