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2026/10 Vol.129

装置製作:高山芳の
(多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻 統合デザイン領域 在籍)
金属・磁石・モーターなどの単純なメカニズムを用いた装置は、重力や摩擦を受け入れながら、ある行為を繰り返します。その姿は、私たちが呼吸し、脈を打ちながら生きていることを思い出させます。本誌では、学部の卒業制作である 10 体の装置〈脈拍〉を中心に、全 12 体の作品を紹介します。

バックナンバー

和文学術誌目次

日本機械学会論文集 掲載論文Vol.92, No.961, 2026

公開日:2026年9月25日

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/transjsme/92/961/_contents/-char/ja


<動力・エネルギーシステムの最前線2026(TEP)>

材料の熱膨張差を利用した受動式クリープ疲労試験技術の確立のための研究

若井 隆純, 安藤 勝訓, 岡島 智史, 豊田 晃大, 石上 勝夫, 小沼 輝充, 高橋 亮耶, 浅山 泰

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00004

ナトリウム冷却高速実証炉への適用を目的として,新たな材料監視技術の開発に取り組んだ.この技術は,試験体を原子炉内に挿入し,試験片を観察・評価して劣化の程度や残存寿命等の情報を得ることにより,材料劣化プロセス,すなわち疲労およびクリープ疲労損傷の把握を可能とする.この技術を確立するため,受動式クリープ疲労試験体を設計・製作し,電気炉を用いて繰返し温度変化を与える実証試験を実施した.実証試験後の観察の結果,座屈は生じておらず,また,破面観察の結果,疲労またはクリープ疲労によって破損が引き起こされたと推測され,この技術のナトリウム冷却高速実証炉への適用見通しを得ることができた.

ガス化炉追設による微粉炭火力発電のCO₂排出原単位低減方法の提案

木戸口 和浩, 梅本 賢, 梶谷 史朗, 金子 祥三

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00006

火力発電では,CO₂排出原単位が比較的低いLNG複合発電が推進されているが,燃料の多様化も重要である.本研究では,ガス化技術を適用して,高効率微粉炭火力発電所を低炭素化する戦略を提案した.既設の微粉炭火力発電に対し,ガス化炉の設置,化学合成設備の設置,水素やアンモニア等の脱炭素燃料の混焼を段階的に行うものである.試算の結果,水素混焼のみでLNG複合発電と同等のCO₂排出原単位を達成するには,熱量基準で56%の水素混焼が必要だが,本提案では大幅に水素混焼の割合を減らせることが示された.CO₂排出量の削減と電力需給の安定の両立を目指すにあたり,本提案は有効な選択肢となり得るものである.

アンモニア燃料で稼働する産業用ガスタービン圧縮機の非定常流動シミュレーション

宮澤 弘法, 萩田 泰晴, 古澤 卓, 山本 悟, 梅沢 修一, 米澤 宏一, 八木 啓介, 宮垣 寛之

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00023

本研究は,既存の産業用ガスタービンにおいて,燃料を天然ガスからアンモニアへ転換した際の圧縮機内部流動および効率への影響を解明することが目的である.実機圧縮機の入口案内翼(IGV)を含む上流2.5段を対象に,定格から部分負荷運転までを模擬した非定常全周流動解析を行った.解析の結果,アンモニア燃料化に伴う圧縮機吸込流量の減少により,高負荷時には初段動翼の衝撃波構造が変化することを示した.また,IGVが低開度となる起動時や出力調整時には,軸方向流速の低下によって静翼へのインシデンス増加を招き,大規模剥離を発生させ,圧縮機効率の低下が懸念されることを明らかにした.

既存ガスタービンへの水素,アンモニア,アンモニア改質燃料適用時のヒートバランス解析

森本 大智, 米澤 宏一, 原田 悠登, 杉山 和靖, 梅沢 修一, 八木 啓介, 宮垣 寛之

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00024

本研究では,商用ヒートバランス解析ソフトウェアTHERMOFLEXを用いて,水素,アンモニア,およびアンモニア改質燃料を用いた場合の大型産業用ガスタービンの性能変化を評価した.タービン入口温度が1350℃クラスのF型タービン(GE 9F.03)をモデル化し,公表されている定格仕様に基づいて検証を行った後,広範囲な負荷条件下で設計外計算を実施した.また,燃料変更は圧縮機の運転特性も変化させるがタービン第1段ノズルのスロート面積を拡大することで従来と同等の条件での運転が可能になることを確認した.

V形ダリウス風車の翼端形状が出力特性に与える影響

櫻井 遼, 河野 孝昭, 馬場先 貴紀, 池尾 快, 飯田 侃, 木綿 隆弘, 小松 信義, Mohamed HERAGY

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00028

日本周辺海域では水深50–200 mの海域が広く,浮体式洋上風力の導入可能な海域面積は着床式の約4.7倍に達するため,浮体式洋上風力の普及が期待されている.一方で,浮体式の高コスト化が課題であり,風車本体および浮体構造物の低コスト化が求められている.V形ダリウス風車は重心位置を低くでき,風荷重が回転軸方向に分布するため浮体構造の低コスト化に寄与する可能性がある.しかし研究事例は少なく,性能向上手法も十分に明らかでない.特にダリウス風車では翼端損失が性能低下の要因となることから,翼端形状の改良が有効と考えられる.本研究では,V形ダリウス風車に対して翼端板およびウィングレットを付加した場合の出力特性を風洞実験により評価し,さらに最も大きな出力向上効果のあった30°傾斜ウィングレットについてCFDによる空力メカニズム解析を行った.実験の結果,翼端板は最大出力係数および最適周速比を低下させたのに対し,ウィングレットは性能を向上させた.特に30°ウィングレットの効果が最も大きく,風上側アジマス角付近で翼端および翼上端付近のトルク増加が顕著であった.CFD解析より,ウィングレットが翼本体上端を越える流れを抑制し,翼前縁の負圧を強く保持することでトルク生成を促進することが示された.以上より適切なウィングレット形状はV形ダリウス風車の効率向上に有効であり,V形ダリウス風車のトルク生成を促進する有効な手法となり得ることが示された.

石炭火力発電所ふく射ボイラにおける再熱器の温度解析

中島 歩, 黒瀬 築, 宮田 一司, 梅沢 修一

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00029

石炭火力発電所のふく射ボイラにおいて,熱負荷の大きい過熱器や再熱器では伝熱管の損傷が生じやすいため,より安全・安定的な運転を実現するためには,過熱器・再熱器の温度・熱流束分布を予測することが重要である.本研究では,ふく射モデルとしてDOモデル,乱流モデルとしてk-ε RNGモデルを用いた数値流体力学解析により,再熱器の温度分布を評価した.解析は,燃焼灰付着を考慮しないモデルと,灰付着を仮定したモデルの二通りで実施した.その結果,燃焼ガス上流側の熱交換器ほどふく射伝熱の寄与が大きいこと,また,再熱器の水蒸気下流側の曲がり部近傍で局所的に高温となること等が予測された.

ターコイズ水素製造における流動床の安定運転条件評価・選定手法

山本 潤一郎, 鳥居 功, 文 亮太, 鳥井 俊介, 飯島 高善, 山崎 義倫, 岸 宏憲, 小阪 健一郎

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00030

カーボンニュートラル社会の実現に向けて様々な二酸化炭素フリー水素製造方法が検討されているが,その一つとして既存の天然ガスインフラを活用できるメタン熱分解水素(ターコイズ水素)製造技術が挙げられる.ターコイズ水素製造に流動床を用いる場合,反応により生じる微粒子(生成炭素,破砕した触媒)が流動床内である割合を超えると,流動床の下部に流動しない領域(不動域)が発生する点が課題となる.本論文では不動域が発生する微粒子割合(不動域発生限界)の導出方法と,不動域発生限界到達の検知方法について述べる.連続式加圧流動床試験装置を用いて本手法を検証した結果,200h超の運転時間中に不動域発生は認められなかった.

波力発電用衝動タービンに関する研究(中間羽根設置による性能改善)

福田 健友, 井上 海瑠, 佐々木 翔平, 奥原 真哉, 高尾 学

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00039

波浪エネルギー利用技術の一つである振動水柱型波力発電において,往復気流で常に同一方向に回転する往復流型衝動タービンが使用されている.このタービンは翼列形状が回転中心面に対して対象であるため,下流側案内羽根入口で大きな衝突損失が発生するとともに,案内羽根圧力面近傍で流れのはく離領域が発生する.本研究では,この流れのはく離を抑制するため,案内羽根間に中間羽根として薄い円弧翼を設置し,その効果をCFD解析により評価した.その結果,中間羽根の設置により流れのはく離を抑制でき,中間羽根なしのタービンに比較して最高効率が約4.3%の増加した.

石炭と廃プラスチック混合ガス化における生成ガス性状に及ぼす水蒸気添加の影響把握

濱田 博之, 木戸口 和浩, 深澤 秀行

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00046

CO2回収型ポリジェネレーションシステムは,石炭以外に廃プラやバイオマスを利用し,O2/CO2/H2Oガス化により生成したガスを用いてCO2を回収しながら発電するとともに,化学合成により有価物を併産するシステムである.生成ガスからの化学合成においては,適切なH2/CO比があるため,生成ガスのH2/CO比を調整できることが重要となる.また,廃プラのように揮発分が多い燃料では,ガス化の際にタールの生成が懸念される.本研究では3t/d二室二段噴流床ガス化炉を用いたガス化試験により,タール生成の抑制方法を検討するとともに,石炭と廃プラの混合ガス化時において,投入ガスのH2O/CO2比を調整することにより,化学合成に必要となるH2/CO比の調整が可能となることを示した.

<材料力学,機械材料,材料加工>

繰返し応力ひずみ挙動を考慮した非線形複合硬化則による多層溶接の残留応力解析

村上 寛企, 只野 智史, 楢﨑 千尋, 小川 琢矢, 林 貴広, 齋藤 利之

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00110

本研究では,多層溶接における残留応力解析の高度化を目的として,繰返し応力―ひずみ挙動を考慮した非線形複合硬化則の有用性を評価した.複合硬化則にはChabocheモデルを採用し,荷重反転後の挙動を重視したCycle 2 Fitにより実験で得られた繰返し応力―ひずみ関係を再現した.7層12パスの多層溶接試験体を対象とした残留応力解析の結果,複合硬化則は溶接金属内部に見られる凸型の残留応力分布を良好に再現でき,一般的な二直線近似で設定した移動硬化則や等方硬化則よりも測定結果を精度良く再現した.これは,複合硬化則が応力反転後のバウシンガー効果と繰返し硬化を同時に表現できることが寄与したと考えられ,多層溶接の残留応力解析において複合硬化則が有効であることを確認した.

<流体工学,流体機械>

テンソル型Leslie-Ericksen理論を用いたネマティック液晶の2重円筒間せん断流れにおける分子配向欠陥挙動の数値解析

辻 知宏, 溝口 祥高

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00096

テンソル型分子配向変数を導入したLeslie-Ericksen理論を用いて,ネマティック液晶の2重円筒間せん断流れの数値解析を行い,分子配向場に生じる線欠陥構造の形成および挙動について調べた.テンソル型Leslie-Ericksen理論を用いた解析では,従来のベクトル型Leslie-Ericksen理論では再現できなかった強度s=±1/2の欠陥構造の出現が確認できた.従来の解析で現れたs=±1の欠陥構造に対して分子配向場の歪みエネルギーが低い欠陥構造の再現により,欠陥構造が出現するようなネマティック液晶流の解析にはテンソル型Leslie-Ericksen理論を用いることが必須であることを明らかにした.さらに,分子配向場の歪みによって生じる分極が欠陥核近傍で大きくなることも分かった.

<熱工学,内燃機関,動力エネルギーシステム>

当量比の正弦波振動に対する希薄予混合火炎の消炎特性

高山 真太郎, 末永 陽介, 柳岡 英樹

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00014

直噴ガソリンエンジンの高性能化には,希薄域における不均質混合気中を伝播する火炎の燃焼特性を理解する必要がある.本研究では,周期的当量比変動に対するよどみ流希薄予混合火炎の消炎特性を解明するため,燃焼器出口の混合気流速を一定とし,当量比φの変動振幅を増幅させた.無次元濃度変動周波数ηをη = 2πf/gと定義した.fはφの変動周波数,gは火炎直前における混合気流の速度勾配である.φの変動に対し,動的メタン火炎の CHラジカル発光強度は,η < 1では準静的な応答を示し,η ≥ 1の条件ではback support効果のために消炎が遅れ非定常的な応答を示した.本研究で定義した η は,濃度変動火炎の非定常性の発生を予測する上で有用な指標である.

加圧水型炉発電プラントの主給水流量喪失および補助給水系不作動による2次冷却系の設計ベースの除熱機能停止後の解析と対策

吉村 紘一, 亀山 高範

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00025

発電用原子炉(PWR)の確率論的リスク評価(PRA)では,2次冷却系の主給水流量喪失時の補助給水系不作動による事故シーケンスがシビアアクシデントとして抽出され,当事故シーケンスへの対策にフィードアンドブリード運転が追加された.本研究では,シビアアクシデントシミュレータSARSを用いて当事故シーケンス時に2次冷却系の設計ベースの除熱機能停止後のプラント挙動を解析し,サイクル初期(BOC)と末期(EOC)で異なる点を明らかにした.2次冷却系の設計ベースの除熱機能停止後のフィードアンドブリード運転の時間余裕が蒸気発生器(SG)ドライアウト後63分,ならびに1次冷却材の放出なく事象が収束できる代替SG注水容量が80 m3/h必要であると特定した.

ナトリウム冷却高速炉における自己作動型炉停止機構の性能評価に関する研究(燃料集合体出口から温度感知合金周辺の流動場計測)

山崎 僚太, 相澤 康介, 小林 順, 江連 俊樹, 田中 正暁

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00060

ナトリウム冷却高速炉(SFR)では,原子炉停止機能喪失事象(ATWS)対策として自己作動型炉停止機構(SASS)の実装が計画されている.SASSを有効に機能させるためには,冷却材温度上昇に対する温度感知合金(CPEM)の応答性を確認することが重要であり,CPEM周辺の流れ場を把握する必要がある.燃料集合体出口からCPEMまでを模擬した水試験装置を使用し,フローコレクタがフィン間流速に及ぼす影響を確認し,解析評価手法の妥当性確認データを得た.その結果,フローコレクタ縁における剥離流がフィン間流速の周方向分布に与える影響を明らかにした.得られた実験データは,SASSの性能評価手法にも活用され,SFRにおけるSASSの実装を促進するものとなる.

<交通・物流>

潤滑油の状態が鉄道車両用歯車装置の回転トルクに与える影響

木川 定之, 高橋 研

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00032

鉄道車両用歯車装置の効率向上に関する知見を得るため,2種類の歯車装置を用い,潤滑油の種類および油量を変化させた無負荷試験により,回転トルクへの影響を評価した.油種の影響として,加速段階および定速運転の初期において,動粘度が高いほど回転トルクが大きくなる傾向が観察されたが,定速運転を継続すると油種による差が縮小した.一方,油量による影響は初期には小さく,定速運転を一定時間継続すると現れる傾向が観察された.結果から,潤滑油の油種および油量が回転損失に寄与することが示されたが,歯車装置の構造や運転条件による影響を検討する必要性も認められた.

物流倉庫における荷合わせを不要化するAGVリレーオーダピックの制御技術

福永 峻, 永原 聡士, 室谷 和哉, 上野 翔太郎, 金井 政樹, 坂井 亮, 濱田 晃, 小林 大航

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00098

本研究では,物流倉庫におけるピック作業の自動化・効率化に対するGTP設備の課題である,出荷傾向に応じて適切な保管設備が異なること,荷合わせ作業が必要となることの解決を目的に,出荷箱を積載したAGVが複数エリアを巡回してピック作業を行うAGVリレーオーダピック方式を提案した.

本方式を実現するために,オーダ投下制御,自動倉庫出庫制御,AGV運行制御の3つの制御技術と,それらを連携させる制御アーキテクチャを提案し,実倉庫の作業を模擬したシミュレーション用いて,ベースライン手法と比較してスループットが20%から46%向上し,理論的なスループットの上限の71%スループットを達成できる見込みを得た.


日本機械学会学術誌規定が改訂され,日本機械学会論文集に「機械工学レター」(速報に値する短い論文)が投稿できるようになりました!是非とも投稿をご検討ください.

https://www.jsme.or.jp/bulletin/news20250409.pdf

 

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