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2021/9 Vol.124

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

ハートカム

明治7(1874)年/真鍮、鉄、木製台座/H400, W300, D303(mm)/

東京大学総合研究博物館所蔵

「HEART CAM」の刻記あり。工部大学校を示す「IMPERIAL COLLEGE OF ENGINEERING. TOKEI. 1874」の金属プレート付。工科大学もしくは工学部の備品番号の木札があるが判読不能。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

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特集 画像で見る機械工学

[ 熱工学ギャラリーで公開中の動画紹介 ]層流伝播火炎の不安定性

北川 敏明(九州大学)

動画リンク:熱工学ギャラリー 層流伝播火炎の不安定性 (ted-jsme.jp)

不安定な火炎の観察

本題に入る前に、身近で起こる不安定現象の例を示す。コップに水を注ぐとその水面は平らであるが、雨で濡れた雨樋の裏には、一定の間隔に並んでしずくが垂れるという不安定性が現れ、均一の厚さの水の層は形成されない。

さて、燃料と空気の混合気に点火すると、火炎が形成され混合気中を伝播する。日頃目にすることはないが、この火炎にも、燃料の種類や濃度によっては不安定性が現れる。流れのない静止混合気中で点火したときに、球状に伝播するプロパン層流予混合火炎の様子を図1に示す(1)。時間経過につれて伝播する火炎を、図1では左から右に示している。混合気中の燃料濃度を当量比φにより示す。混合気中の燃料量に対して酸素量が化学量論となるときにφ =1となり、それよりも燃料濃度が低く希薄な混合気ではφ <1、燃料濃度が高く過濃な混合気ではφ >1である。

図1 球状に伝播するプロパン層流予混合火炎

このプロパン火炎では化学量論の燃料濃度よりも希薄なφ =0.8のときには、滑らかな球状の火炎面が外向きに伝播していく。しかし、燃料濃度が過濃なφ =1.3のときには、伝播中の火炎面にひとりでにしわが形成される。これは、火炎の不安定性によるものである。ここには示していないが、水素やメタン火炎の場合は、プロパン火炎とは逆に、燃料濃度が希薄なときに不安定性が強い(1)(2)

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