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2021/9 Vol.124

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

ハートカム

明治7(1874)年/真鍮、鉄、木製台座/H400, W300, D303(mm)/

東京大学総合研究博物館所蔵

「HEART CAM」の刻記あり。工部大学校を示す「IMPERIAL COLLEGE OF ENGINEERING. TOKEI. 1874」の金属プレート付。工科大学もしくは工学部の備品番号の木札があるが判読不能。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

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Myメカライフ

知的好奇心に駆られて

子供のころの私は、SFやファンタジーの世界、特に空想の生物や機械生命体に夢中にでした。自分もそのような新しい世界を創り出したいと漠然と思っていました。それから月日が経ち、大学生になった私は偶然にも新しく立ち上がった研究室に配属されることになりました。そこで、私の人生に大きな影響を与えることになるハイドロゲルに出会いました。ハイドロゲルとは水を多く含む高分子ネットワークでできたゼリーのようなソフトマテリアルです。機械工学を専攻していた私にとってハイドロゲルは馴染みのない材料でしたが、従来のような硬い材料ではなくハイドロゲルのような柔軟でウェットな材料でアクチュエータやロボットを作ることは人工生命や機械生命体の実現に繋がるのではないかとロマンを感じました。

初めに取り組んだことはハイドロゲルでバネを作ることでした。先行研究を参考に実験を行っていたのですが、中々実験が上手くいきませんでした。ある時、少し投げやりな気持ちの中、デバイスの先端が欠けているのに気付きながらも実験をしていた時のことでした。偶然にも割れた先端からグルグルと見たことのない挙動で螺旋状のハイドロゲルがみるみるうちに構築されていきました。私は驚くと同時に、とても感動したことを今でも覚えています。そして、自分の見出したこの手法を世界に発表したい、役に立つ形に仕上げたいという気持ちが強烈に沸き上がってきました。

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