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2025/10 Vol.128

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特集 次世代デジタルインフラの構築

次世代データセンタ用光電集積モジュールの開発

京セラ(株)

はじめに

サーバ内などの電気配線を光配線化する革新的な光電融合技術などにより、データセンタの省エネ化を目指す「次世代グリーンデータセンタ技術開発」プロジェクトにおいて、我々はデータセンタ間の長距離光通信からサーバ内光配線までをシームレスに光接続する光ネットワークインタフェースカードに搭載する光電集積モジュールの開発を行っている(1)。そのモジュールは近年、光配線の進化形態として考案されているOBO(On-Board Optics)やCPO(Co-Packaged Optics)といった新たな形態のものである。また、より小型なモジュールを実現するためにポリマ光導波路を用いたモジュールを試作したので本稿にて紹介する。

 

モジュール開発

オンボード光電集積モジュール(OBO)

我々が開発したOBOモジュールを図1に示す(2)。プリント配線板のサイズは37mm×29mmの当社オリジナル形状で、16レーン構成(32Gb/s × 16 = 512 G b/s)を実現する高密度設計が特徴である。プリント配線板上にはアイオーコア(株)のシリコンフォトニクスデバイスIOCore®(3)を4個搭載し、デバイス内部で高速信号が光電変換される。電気インタフェースは容易に着脱可能なメザニンコネクタを用い、3.3Vの電源供給のみで動作可能な構成となっている。また、光インタフェースは図2に示すとおり、光ファイバがおよそ90°に曲げられた構造を用いて、シリコンフォトニクスデバイスに入出射される垂直方向の光信号を水平方向に光路変換している。

(a) 正面図(光ファイバアレイ実装前)

(b) モジュール組立後(正面)

(c) モジュール組立後(裏面)

図1 OBOモジュール外観

(a) 実機

(b) 概略図

図2 OBOモジュールの光インタフェース

PCIe5.0の伝送レートである、32G b/s NRZでの伝送特性を評価した。全16レーンを駆動させ、長さ30mのマルチモード光ファイバ(OM3)から出射された光信号のアイパターンと、この光信号をモジュールに入力し光電変換後の電気信号のアイパターンを図3に示す。いずれもアイパターンの開口状態はクリアであり、エラーレートについてはBER<10-12の結果を得た。

(a) 光信号

(b) 電気信号

図3 アイパターン

OIF準拠 光ファイバ型モジュール(CPO)

社会実装を進める上で、標準化された規格に則ることは重要であり、各標準化団体で光伝送に関する規格などが議論されている。我々はプリント配線板上の電気配線長の短縮により省電力化を図るCo-Packaged Optics(CPO)技術として、Optical Internetworking Forum(OIF)が発行したImplementation Agreement(IA)準拠のモジュールを開発した(4)(図4)。本モジュールは、33.6 mm×21.0mmの大きさのプリント配線板であり、シリコンフォトニクスデバイスを2個搭載した。OIF規格の高さ寸法は6 mmであり、プリント配線板やリッド、シリコンフォトニクスデバイスの高さ寸法を差し引くと、光コネクタに許容される高さ寸法は約2 mmとなり、低背な光インタフェースが必要とされる。この低背設計を実現するため、前述したオンボードモジュールに搭載した90度曲げ光ファイバアレイから、斜めカット端面を有する8芯光ファイバアレイへ変更した(図5)。電気インタフェースにはμLGAソケットを採用し、793ピンの接点を均一に圧接するために、プリント配線板の反り量やリッド内部の押圧機構を最適化し、プリント配線板とμLGAソケットが安定して電気接触するように設計した。伝送評価では、32 Gb/s NRZ×8レーンの通信において、BER<10-12を達成した。

(a) リッド組立前(上面)

(b) リッド組立前(裏面)

(c) リッド・ソケット組立後

図4 OIF準拠光ファイバ型モジュール 外観図

(a) 実機

(b) 概略図

図5 OIF準拠光ファイバ型モジュール 光インタフェース

OIF準拠 光導波路型モジュール(CPO)

さらに我々は、OIF準拠と外形は同じながら、8芯光ファイバアレイ2個を16芯光ファイバアレイ1個に集線したポリマ光導波路型モジュールを開発した(5)(図6)。プリント配線板にはシリコンフォトニクスデバイス2個をフェイスダウンでフリップチップ実装し、ポリマ光導波路を用いて配線部を集約することにより、低背・高密度・高精度な光配線を実現している。シリコンフォトニクスデバイスとポリマ光導波路の接続には光路変換ミラーを用いて、光導波路形成中にミラー実装を行うことで、ミラー反射面とコアを接続した(6)図7にミラー部の断面模式図を示す。また、光導波路と光ファイバとの接続には、光導波路形成時にフォトリソグラフィで形成した溝構造に、MTフェルールと勘合させるためのガイドピンをはめ込むことで高精度な位置合わせを可能とした。伝送評価では、32Gb/s NRZでのBER<10-12を達成した。

図6 OIF準拠 光導波路型モジュール

図7 ミラー部断面模式図

まとめ

本稿では、3種類の光電集積モジュールについて述べた。いずれもレーンあたり32Gb/sの伝送速度を達成しており、データセンタの省電力化と高性能化に貢献する技術的成果を示している。今後は、標準化団体の動向を注視しつつ、社会実装に向けた信頼性評価や製造技術の確立を進めることで、光電融合技術の実用化と普及を加速させていく。

謝辞

この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業(JPNP21029)の結果得られたものです。


参考文献

(1) 次世代デジタルインフラの構築, NEDO,
https://green-innovation.nedo.go.jp/project/building-next-generation-digital-infrastructure (参照日:2025年7月11日).

(2) 山本崇,赤星知幸,辻野咲季,髙橋美沙,松原孝宏,オンボード光電気集積モジュール技術, エレクトロニクス実装学会誌, Vol.26, No.3 (2023年),pp.236-240.

(3) アイオーコア(株), https://www.aiocore.com/products  (参照日:2025年7月11日).

(4) 山本崇, 大石恵,立畠健治,上野涼,宮田朋希,渡邉明理,マルチモード光電集積CPOモジュール技術, 第39回エレクトロニクス実装学会春季公演大会 (2025年), pp.470-472.

(5) M. Oishi, K. Oda, R. Ueno, A. Toujo, M. Takahashi, H. Nishimura, S. Enomoto, T. Akahoshi, Photonic Integrated Circuit CPO Module with Polymer Waveguides for Optical PCIeTransmission, The 51st European Conference on Optical Communication, Sep-Oct.2025, Proceeding (Planned).

(6) 東條彩音,平川ゆり,主税智恵,大石恵,小田恵子,表面実装用基板への高密度光配線技術, エレクトロニクス実装学会実装フェスタ関西2025,No.25, 2025年7月.


京セラ(株)

フォトニクス事業開発部

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