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2026/6 Vol.129

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特集 機械技術史のあり方を考える

機械技術史のあり方への1視点

長島 昭(慶應義塾大学)

技術史の有用性

技術史の有用性を単純に考えるときに、過去の失敗や誤りに学ぶということがよく言われる。失敗史という発想だけでなく、技術史から新しい発想のきっかけを得るにはどう考えるか。

茶碗の縁からパチンコ玉を落とすと茶碗の底に停止する。現状だけを見て縁のどの位置から落ちたのか過去を特定することはできない。現状の課題を地球温暖化と考えてみよう。元のエネルギー源を工夫する考え方では、化石エネルギーでも原子力でも太陽エネルギーでも、どう工夫しても結果は温暖化に至ってしまう。これは温暖化の真の原因がエネルギーの過剰消費にあるからである。温暖化に対する重要な対策はエネルギー節約である。

ピラミッドの頂上からサッカーボールを落とす。さまざまな位置に落ちているボールの現状から過去をさかのぼると、過去はただ1点、ピラミッドの頂上である。例えば機械技術の重要課題の一つは人の移動や物の運輸のニーズである。過去には多方向への方策として鉄道や道路の整備、港湾の整備、空港増設など多様な現状に至っている。動きがとれなくなって過去に遡って考えると、元の必要性は移動・運輸という1点であって、そこからは新たに空を飛ぶ自動車やドローン輸送などの発想が生まれる。

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