特集 機械技術史のあり方を考える
機械類の文化財保護のあゆみと課題
日本の文化財保護行政の概略
文化財保護法制の特質
現在の文化財保護行政は、昭和25年(1950)制定の文化財保護法に基づいている。同法では、有形文化財(建造物・美術工芸品)、記念物など保護対象を類型化し、機械類は有形文化財(美術工芸品)のうち歴史資料分野に属する。制度の根幹は、行政が保護すべき文化財を選択し、公共財として後世への継承を図ることにある。すなわち、国は歴史上、芸術上に特に価値が高い文化財を指定し、修理や防災事業などに対し補助金交付や技術的指導などを行い、所有者による文化財の保存・活用を支援し、国民の文化的向上と世界文化の進歩に貢献することを目的とする。
法制の起源と保護対象の拡大
この法制は、明治30年(1897)の古社寺保存法に遡り、以来約130年の歴史を重ねてきた。保護対象は段階的に拡大し、近代の機械類は平成8年(1996)の文化財保護法改正以降に対象化された(表1)(1)(2)。
表1 機械類に関する文化財保護法等の改正の歴史
| 年 | 事項 | 改正の目的 |
| 昭和50年(1970) | 文化財類型に「歴史資料」追加 | 近世の資料群などの保護 |
| 平成8年(1996) | 歴史資料の指定基準に科学技術」追加 登録制度(緩やかな保護制度)の導入 |
近代の文化遺産の保護 |
本稿では、文化財保護行政における約30年間の機械類の保護(指定と保存・活用)の実績を紹介し、その成果と課題を述べることとする。