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2026/7 Vol.129

装置製作:高山芳の
(多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻 統合デザイン領域 在籍)
金属・磁石・モーターなどの単純なメカニズムを用いた装置は、重力や摩擦を受け入れながら、ある行為を繰り返します。その姿は、私たちが呼吸し、脈を打ちながら生きていることを思い出させます。本誌では、学部の卒業制作である 10 体の装置〈脈拍〉を中心に、全 12 体の作品を紹介します。

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和文学術誌目次

日本機械学会論文集 掲載論文Vol.92, No.958, 2026

公開日:2026年6月25日

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/transjsme/92/958/_contents/-char/ja


<材料力学,機械材料,材料加工>

切削温度測定のための石英光ファイバーとInGaAsーInAs複合素子を組合わせた2色温度計の開発

上田 隆司, 舟瀬 真一, 石高 寛士, 朴 亨原

https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00230

著者らはこれまでに,カルコゲナイド光ファイバーと光電変換素子を組み合わせた2色温度計を開発してきた.この温度計を用いて,高速で回転する微小工具の切れ刃温度など,従来の手法では測定困難であった局所的かつ急峻に変化する温度を高精度に測定する技術を確立してきた.しかし,カルコゲナイド光ファイバーは入手することがむずかしく,機械的強度が低く,さらに受光面の加工が難しいといった制約があり,実用面での展開に限界があった.そこで本研究では,カルコゲナイド光ファイバーに比べてはるかに高い強度を持ち入手が容易である石英光ファイバーと,新たに開発した2色素子InGaAs-InAsを組み合わせた新しい2色温度計の開発を行った.この温度計も,応答速度が速い,微小領域の温度計測が可能,輻射率の影響を抑えることができる,高温の測定に強い,非接触で温度測定が可能である,などの特徴を備えている.開発した温度計の感度特性を理論的,実験的に調べるとともに,チタン合金Ti-6Al-4V,炭素鋼S45C,6000系アルミニウム合金を対象とした旋削加工中の切削温度を測定し,温度計の妥当性と実用性について考察した.

三次元造形不均質部材の微視的ばらつきに対する確率均質化問題を考慮した逐次摂動法による確率制約付き寸法最適化

坂田 誠一郎, 新井 悠希, 渡邉 泰地

https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00238

本論文では,複雑な微視構造を有する不均質材料からなる機械部品の確率変位制約条件を考慮した寸法最適化問題について述べた.対象材料は微視的なランダム性を有するランダム材である.これに対し,この微視的ランダム性が変位制約に及ぼす影響を考慮した最適化手法について述べる.この目的のために,確率均質化法と逐次摂動法により機械応答の確率特性を推定した.提案手法の一つの特徴は,ガウス分布における3σ限界の仮定を用いない点である.例として,提案手法をFDM法により作製された部材の微視的ランダム性を考慮した寸法最適化に適用した.数値結果および実験結果から,提案手法の適用可能性および今後の改善点について議論した.

旋盤加工の端面切削を利用した切削油剤の評価に関する研究

小幡 祐莉, 澤 武一

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00002

切削加工では潤滑・冷却作用が加工品質に大きく影響するが,環境配慮型切削油剤に関する基礎的知見は十分でない.本研究では,ADC12の旋盤加工の端面切削を用い,水道水,UFB含有水,強アルカリ水,IPA水溶液,菜種油の加工性能を評価した.その結果,IPA水溶液は高い冷却性・浸透性・潤滑性を持ち,溶着抑制と切りくず形態の改善が確認された.一方,UFB含有水はぬれ性が低く,冷却不足により表面粗さが悪化した.そして,旋盤による端面切削によって得られる現象を整理することで,切削油剤の浸透性,潤滑性,冷却性を評価できることを示し,機械加工現場における油剤選定に活用できる可能性を示した.切削加工では潤滑・冷却作用が加工品質に大きく影響するが,環境配慮型切削油剤に関する基礎的知見は十分でない.本研究では,ADC12の旋盤加工の端面切削を用い,水道水,UFB含有水,強アルカリ水,IPA水溶液,菜種油の加工性能を評価した.その結果,IPA水溶液は高い冷却性・浸透性・潤滑性を持ち,溶着抑制と切りくず形態の改善が確認された.一方,UFB含有水はぬれ性が低く,冷却不足により表面粗さが悪化した.そして,旋盤による端面切削によって得られる現象を整理することで,切削油剤の浸透性,潤滑性,冷却性を評価できることを示し,機械加工現場における油剤選定に活用できる可能性を示した.

低炭素鋼における固溶強化元素添加による疲労亀裂発生寿命の改善

伊藤 孝矩, 杉谷 和哉, 三大寺 悠介, 髙嶋 康人, 東南 智之, 松下 政弘, 杵渕 雅男

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00069

繰返し応力を受ける機械・構造部材では疲労破壊が主な損傷要因である.疲労損傷に対しては,設計的アプローチに加え,材料学的観点からの疲労特性改善も重要である.本研究では,低炭素鋼における固溶強化元素の添加が疲労特性,特に疲労亀裂発生寿命に及ぼす影響を検討した.疲労試験の結果,SiおよびCuの添加は疲労限度比の向上に有効であり,転位組織観察からはCell組織の形成抑制が亀裂発生遅延に寄与することが明らかとなった.これら元素を最適に複合添加した鋼では,同等強度の従来鋼に比べて亀裂発生寿命が延長し,1000万回疲労強度も約36%向上した.

連結ジグザグ構造を有する非空気入りタイヤの座屈強度評価

阿部 隼大, 牛島 邦晴, 鈴木 卓馬, 佐々木 健介, 岡野 敏彦, 山田 哲嗣

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00071

本研究では連結ジグザグ構造を有するNPTが前後方向に荷重を受けた際,中間リングに生じる座屈挙動について,有限要素法に基づく数値シミュレーション解析を用いて検討した.その結果,以下の知見を得た.

・円弧アーチ状の板における座屈の理論式とFEMによって算出された純圧縮の極限強度は一致する.

・NPTにおける座屈は,軸圧縮力$T$と曲げモーメント$M$の複合荷重下での座屈強度の相関曲線に沿って生じる.その大きさを整理すると,軸圧縮力の影響が主であり,座屈の発生の有無は純圧縮状態下での座屈荷重のおよそ半分の値で評価すればよい.

・NPTにおいて,座屈は主に周方向の中間リングに生じる.中間リングは圧縮力と曲げモーメントが同時に受けており,その大きさは主にスポークの角度によって決定される.

・中間リングの厚さやスポークの厚さを変化させることは,座屈を回避することに有効であり,これによって構造の優位性を保つことができる.

<流体工学,流体機械>

印加磁場角度変化が回転楕円体磁性粒子サスペンションに及ぼす影響(モンテカルロシミュレーションによる解析)

鈴木 聖弥, クアドラ ラファエル, 和田 祥平

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00011

本研究は2次元平面上における回転楕円体磁性粒子分散系を対象とし,外部磁場の大きさおよび方向が粒子の凝集および相転移現象に与える影響をモンテカルロ法により解明した.具体的には,粒子間の磁気的な相互作用の強さ,印加磁場の強さ,粒子の面積率が凝集構造に与える影響を詳細に検討した.さらには外部磁場の方向を粒子が存在するxy平面に対して垂直なyz平面内で変化させることにより,凝集体の内部構造および相転移に対する磁場方向の影響を調べた.本シミュレーションから,高密度な状況において印加磁場の方向が変化してもクラスタが残留する可能性が示された.

擬2次元モンテカルロ法による六角平板ヘマタイト粒子の凝集構造転移の解析

岡田 和也, 鈴木 聖弥

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00063

擬2次元系の六角平板ヘマタイト粒子分散系を対象に,モンテカルロ法で凝集構造の形成と外部磁場下での構造変化を検討した.無磁場下では強い粒子間磁気相互作用によりコラム状クラスタが形成され,紙面垂直方向の磁場の印加によりコラム状クラスタが崩壊して単独粒子が増加する傾向を示した.この傾向は既報の扁平モデルと定性的に整合し,本研究の条件範囲では側面形状の影響は顕著でなかった.一方,同一体積・同一材料条件ではアスペクト比の増大により凝集形成が促進された.以上より,凝集構造転移は主として粒子間磁気相互作用強度,外部磁場強度,およびアスペクト比に支配されることを示した.

<機械力学,計測,自動制御,ロボティクス,メカトロニクス>

自律施工時に向けた建機の安全な移動支援のための3次元地形情報を用いた経路提示システム

中村 亮, 安藤 波音, 守本 崇昭, 泉川 岳哉, 藤井 浩光

https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00093

建機の遠隔操作では,映像や3次元情報を頼りに危険を回避するため,正確な状況把握が求められる.特に,足場の不安定な建設現場では局所的に地盤が弱い箇所が存在し,緊急時には迂回が必要となる場合がある.そこで本研究では,遠隔操作を支援するため,3次元情報を活用して地形の走行可能性を評価し,最適な経路を提示するシステムを提案する.提案システムでは,地形の3次元情報から地形の傾斜角や走路幅を算出し,走行可能な経路を推定するとともに,走行可能な領域を併せて提示する.実験では,実際の現場で取得した3次元情報を用いて経路推定を行い,危険を考慮した最適経路の提示に加え,迂回を支援する情報の提示が可能なことを確認した.

港湾石炭荷揚げを行う連続アンローダの自動運転システムの開発

坂野 肇, 久保 諒太郎, 木原 康之, 金島 義治, 曽根原 光治, 村上 弘記, 阿久根 圭, 西川 貴章, 水崎 紀彦

https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00233

バラ積み船からの連続アンローダによる荷揚げは,積み荷による遮蔽や波・潮流による船体姿勢変化を伴う複雑な船倉内での掻取り作業のため自動化が困難であった.本研究では,複数LiDARによる船倉モデル計測,相対位置推定,経路計画・追従制御,掻取り量制御を統合した自動運転システムを開発した.実荷役試験では,夜間かつ大きな揺動下で20分間の連続掻取りを危険接近なく達成し,時間当たり掻取り重量でメーカ定格能力比97%の効率を示した.これにより,本システムは熟練作業者不足への対応,安全性と運用安定性の向上に有効であることを確認した.

<計算力学>

樹脂の粘弾性挙動を考慮した均質化法に基づくFRP積層複合材の平面応力解析

山本 晃司, 山中 耀介, 平山 紀夫, 寺田 賢二郎

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00053

薄肉積層複合材の異方性粘弾性挙動を効率的に評価するため,三次元異方性粘弾性構成則を平面応力条件へ縮約し,古典積層理論と統合した.提案手法の妥当性は,三次元応力状態を仮定した既往研究との比較により検証した.また,樹脂の粘弾性特性に起因する特有の挙動として,引張–せん断連成を有する積層構成では,自由端近傍に局所的な応力集中が生じ,その大きさが樹脂緩和の進行に伴って増大することを示した.さらに,非対称積層構成では,樹脂の緩和により巨視的な異方性特性の特徴が時間とともに大きく変化することを明らかにした.これらの結果は,長期信頼性が要求される複合材構造の設計において,樹脂の時間依存的な粘弾性挙動を考慮することの重要性を示している.

機械学習フォトグラメトリと Nitsche 型埋め込み境界法による並列流体解析

根本 琢巳, 馬込 望, 塚本 顕成, 新舘 京平, Hsu Ming-Chen, 三目 直登

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00064

本研究は,機械学習フォトグラメトリにより実画像群から三次元形状を復元し,その形状データを Nitsche の方法に基づく埋め込み境界型有限要素法に直接組み込むことで,境界適合メッシュ生成を不要とする並列流体解析システムを提案する.提案手法の精度検証として,円柱周り流れの解析を実施し,抗力係数および渦の長さが既存研究で報告されている値と良く一致する結果を得た.さらに,機械学習フォトグラメトリを用いた並列流体解析システムのデモンストレーションを行い,良好な並列計算性能を確認するとともに,流速場および圧力場の可視化結果から,解の定性的な妥当性が示された.

<設計,機素・潤滑,情報・知能,製造,システム>

リチウムイオン電池のリパーパスを考慮したバッテリー充電式および交換式電気自動車のライフサイクル評価 ?

吉田 涼, 村田 秀則, 小林 英樹

https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00200

電気自動車はバッテリー充電式と交換式に大別され,両者共通の課題はバッテリー製造に伴う高い環境負荷である.この解決策としてリパーパスが有効であり,これを考慮したLCA事例は多数あるが,充電設備やリパーパス先の製品システムを含めた包括的評価や個体毎の劣化に基づくリパーパス成立条件を考慮した評価は行われていない.本研究では産業用蓄電池へのリパーパスを想定し,これと充電設備を評価範囲に含め,ライフサイクルシミュレーションを用いてリパーパス成立条件を考慮した両方式の電気自動車のライフサイクル評価を実施した.その結果,評価範囲を拡張した場合では充電式の環境負荷が交換式を下回る可能性があることが示された.

マシニングセンタの推定運動軌跡に基づいた直線補間工具経路の運動誤差低減手法の提案

山口 哲郎, 牛見 宣博, 松下 大介, 丘 華

https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00234

マシニングセンタ(MC)の指令経路で多用される連続する直線補間指令の場合,NC加減速やサーボ遅れの影響を受けてブロック接続点で誤差が大きくなる.接続点にドゥエル指令すれば誤差は小さくなるが,ドゥエル時間と誤差の詳細関係は不明である.本研究は,MCユーザーの立場から推定運動軌跡に基づいて,目標精度を効率よく満足できるドゥエル時間を算出し,算出した時間に相当する送り速度をNCプログラムに反映させる手法を提案する.提案手法はNCシステムの内部への制御処理が不要であり,特別な装置も必要としない.対象MCによる実機実測検証と実加工ワークの輪郭測定の結果から,提案手法の有効性を確認した.

背景変位型シャドウグラフ法による光学部品の形状測定

戸谷 公紀, 鷹見 凌, 東 真也, 齊藤 卓志

https://doi.org/10.1299/transjsme.25-00242

光学部品の表面形状を非接触,簡易,短時間かつ定量的に測定する背景変位型シャドウグラフ法を提案する.提案手法は従来の背景型シュリーレン法に背景を微小変位させる操作を加えることで,サンプルと屈折率を一致させた標準物質を使用せずに,屈折率の空間二階微分を奥行方向に積分した量が測定できる.内部が均一な球面レンズについて,測定精度を高めるためサンプルの厚さを考慮して,レンズ面の曲率半径を測定する式を導出した.市販の球面レンズを用いた実験により,半径が50 mmから100 mmのレンズ面を5%未満の不確かさで測定できることを示した.提案手法は光学部品の製造品質を自動で検査および改善する射出成形CPSへの応用が期待される.

<生体工学,医工学,スポーツ工学,人間工学>

ゼンマイばねを用いた非電動パワーアシスト車椅子の機械特性と介助者負担軽減効果

玉置 亘, 大田 慎一郎, 高戸 仁郎

https://doi.org/10.1299/transjsme.26-00027

本研究では,上り坂における車いす押上げ走行時の介助者負担低減を目的として,非電動型のゼンマイばね式パワーアシスト機構の有効性を検討した.まず傾斜路で静的釣合実験を行い,ばね巻き数とアシスト力の関係を定量化した.次に動的走行実験を実施し,三軸力センサにより介助者押力を測定した.その結果,アシスト機構の使用により押力の最大値およびRMS値が約30~40%低減し,提案機構が上り坂走行時の介助者負担を効果的に軽減できることを示した.


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https://www.jsme.or.jp/bulletin/news20250409.pdf

 

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