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2023/1 Vol.126

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会長新年挨拶「強い機械工学と強い日本機械学会を取り戻そう」

2022年度(第100期)会長 加藤千幸

 

会員の皆様におかれましては、よき新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。

新型コロナウィルスの感染拡大を経験してから3 年が経過しました。日本機械学会(以下、本会)も一昨年度および昨年度は全ての集会事業をオンラインによって開催してきました。オンラインの有効活用によって、利便性の高い学会運営が可能になった反面、オンラインのみによる運営の限界も明確になりました。感染リスクを最小化する対策を実施した上で、社会・経済活動を再開するという流れの中で、本会も今年度から対面による運営を再開しました。このことによって、人と人とが直接触れ合うことが重要な、シンポジウムなどは対面開催に戻り、一方、オンライン開催の方が参加者にとっての利便性の高い講習会などはオンラインで開催するという方式が定着してきました。所管理事会や全体理事会はハイブリッドで開催していますが、多くの理事の皆様に直接現地で参加いただいており、より活発な議論が可能になってきました。3 年間の歳月を経て、新型コロナウィルスと共存する学会運営の在り方も定着してきたと思います。

さて、本会の最大の課題は会員数の減少であり、特に、2002 年くらいから、20年あまりにわたって企業の会員数が毎年約500人少なくなっており、2002年には2万人あまりだった企業所属会員数は現在は1 万人あまりに減少しています。会員数減少の流れに歯止めを掛けることは容易ではありませんが、代表会員会、支部訪問、部門協議会、支部協議会などのさまざまな機会を捉えて、本会が抱える本質的な問題を明確にし、それに対する対応策を検討しています。会員数の減少に歯止めを掛けるためには、短期的な視点、および中・長期的な視点の両方の視点の対策が必要です。短期的な視点の対策として、講習会参加者に対して、翌年度の会費の減額・免除制度などを検討しています。より長期的な視点では、機械工学そのものの価値を高めたり、それをリードする本会のミッションを強化したりする必要があります。また、論文誌の強化など、学会としての価値の向上も重要な課題です。

複雑化した社会的課題を解決するためには部門間の連携や学協会間の連携の強化が必須な状況です。3年前に4 つの学会横断テーマを立ち上げ、課題の解決のための議論を進めてきました。これまでの議論によって、より具体的な課題は明確になったと思っております。今後はそれを解決するための、より突っ込んだ議論をしていきたいと考えております。また、新部門制の試行が3 年前から始まっており、本年度が最終年度になります。来年度からはいよいよ本格実施期間に移行します。新部門制は、部門のさらなる活性化と部門間連携の強化が目的です。新部門制の下で各部門の活動がますます活性化されていくことを強く期待しています。

以上、いくつかの重点実施事項に関して言及いたしましたが、これ以外にもさまざまな取り組みを実施しております。会員減少に歯止めを掛けることは喫緊の課題ですが、本当の目的は強い機械工学を取り戻すことであり、本会がその過程を強力にリードすることにあります。社会的な課題の解決のために機械工学はもっと大きな貢献ができると信じております。会員の皆様には、引き続き本会の活動にご理解とご協力いただければ誠に幸いに存じます。

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