イブニングセミナー(第126回) 「おいしく食べて健康に」
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れ られて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代 を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会 の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマおよび講師】
戦前には50歳そこそこであった平均寿命も,今や80歳にもなった.平均寿命の伸びた原因はひとえに医学と衛生の発達に他ならない.100年 前には,結核と脚気が亡国病とされ,戦争による戦死者数を上まわったものであった.この二つの病気は解決されたはずが,今になってまた,再燃し,日本の 人口政策に影を落としている.
一方で,メタボリック・シンドローム(いわゆるメタボ症状)の予防のために,肥満予防がすすめられ,それは悪いことではないが,食生活から美 味と楽しみをうばおうとしている.美味と栄養(健康をもたらす)は,同じもののはずが,多くの人にとっては,全く相反すると思われ勝ちになった.
どうしたら楽しく過ごし,社会活動が実践できるか,多くの人にとって永遠のテーマである.私にとっても,一生それを模索すべきことであった. 現在は,形を作ることで全てが成り得るという傾向が強い.しかし,表面をとりつくろっただけでは,成功したとは言えないだろう.
やはり健康第一,誰にでもできる健康管理は,食生活と運動,これが車の両輪の如く働き,私達を健康にしてくれる.とかく健康管理は,難行苦行 を伴うものとして,意志の強い人でないと成就できないと思われている.このことは,日本人の多くが真面目なところから来ているのではないか.がんばったと ころで知れている.肩の力を抜き,80%をめざすことで充分なのである.
講師:東畑朝子(フード・ドクター)
【懇親会】
高田馬場駅前の土風炉(とふろ)にて,講師を囲んで懇親会を行います.会費3 000円程度.
【次回予定】
2010年5月26日(水)18.00~20.00
(仮題)「ナノテクノロジーの光と陰」
講師:武田 健(東京理科大学薬学部教授・ナノ粒子健康科学研究センター長)