イブニングセミナー(第130回) 「鉄道訓練シミュレータとSNS ―最新のITC技術か?細心のベテラン技術か?―」
【趣 旨】
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマおよび講師】
安全性と時間厳守を重んじる日本の鉄道サービスでは,運転士・車掌のスキルアップは重要課題であり,業務訓練にも様々な工夫がなされている.
このうちの「フルハイビジョン可変速再生技術」という,最先端技術を活用した鉄道運転シミュレータについて,わかりやすく解説する.この技術は,運転速度が変化しても,画像が乱れることなく実路線のリアルな映像を再現表示可能な技術であり,鉄道会社での業務訓練は勿論,子供向け訓練エンターテイメント施設でも採用されている楽しい技術である.
デモンストレーションを交えて,「どの様な背景」から「何を狙って」開発されたのか,「独自性は何か」,「これからどうなるのか」を,説明する.
また,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)というものを利用して,「ベテランのノウハウ」と「現場のヒヤリハット」を情報共有する,クラウドコンピューティング技術を採用した新しいインターネットサービスへの取り組みについても紹介する.
なお,「フルハイビジョン可変速再生技術」は,教育効果やシステムの企画・実現方法に関し,日本e-Learning大賞経済産業大臣賞とグッドデザイン賞(Gマーク)を受賞したシステムである.
講師:池田尚義(富士通(株)サービスプロダクトビジネスグループ)