流体とインフォマティクス
【企 画】流体工学部門
【開催日】2019年1月16日(水) 9:30 ~ 17:00
【協 賛】日本計算工学会,日本気象学会, 日本航空宇宙学会,日本混相流学会,
日本シミュレーション学会,日本伝熱学会,日本流体力学会,
可視化情報学会,自動車技術会,ターボ機械協会,日本ガスタービン学会,
オープンCAE学会,情報処理学会,進化計算学会
【趣 旨】
設計・研究の現場において,「もっと効率的に設計パラメータを評価したい」,「計測,解析データから有意義な情報を抽出したい」と感じることはないでしょうか.近年,従来の工学的手法と情報科学的アプローチを融合し,有用な情報を抽出する新しい問題解決手段が着目されています.本講習会では,その中でも特に流体問題への適用に着目し,最適化をはじめとして,データ同化,不確かさ評価,機械学習などの新しい問題解決法と,その実際の適用例に関して広くご紹介頂きます.本講習会は,主に企業の技術者・研究者や,学部・大学院の学生の方々を対象としております.多数の皆様の参加をお待ちしております.
【プログラム】
9:30~9:40「挨拶・諸説明」
株式会社 日立製作所 川口 大輔
9:40~11:10「フルードインフォマティクス2.0」
東北大学 大林 茂
2010年,日本機械学会編「フルードインフォマティクス ―「流体科学」と「情報科学」の融合―」が出版された.科学技術イノベーション総合戦略2017でSociety 5.0 の実現が謳われる今日,その重要性はますます高まっている.フルードインフォマティクスの新たな展開を概説する.
11:20~12:20 「流体解析・設計における不確かさの定量的評価」
東北大学 下山 幸治
実世界に見られる流体現象は,無数の不確かな物理要因が複雑に絡み合って発生する.流体現象の再現を目的とした数値解析は通常,こういった不確かさの存在を無視して単純化されることが多く,その結果は実現象とかけ離れたものとなる.また工学設計においても,製造誤差や環境揺らぎなどの不確かさが存在し,設計対象とする製品の品質,すなわち設計の信頼性に大きく影響する.本講義では,実世界に存在する不確かさを数理モデル化し,流体解析および設計に取り入れ,不確かさに対する物理量の挙動を定量的に評価することで,複雑な流体現象の正しい理解および実用に耐えうる工学製品の創出に向けた取り組みを紹介する.
12:20~13:40 昼休み
13:40~14:40「カルマンフィルタによる動的モード分解とその発展」
東北大学 野々村 拓
拡張カルマンフィルタに基づいて動的モード分解を行うことで,システム推定と同時にデータのノイズを除去する方法を示す.この方法は,流体などのシステムが低ランク,線形に近似できる場合に非常に有効に利用できる.一例として非常にノイジーな実験データをノイズ除去できることなどを示す.合わせて,今後の発展に関して展望を述べる.
14:50~15:50「機械学習を用いた流体構造連成解析」
北海道大学 三輪 修一郎
工業プラントを安全に,効率良く運用するためにも流体構造連成問題の検証は重要となる.特に,気体と液体が複雑に混合する気液二相流においては,気液界面の変形による様々な流動様式が存在することで知られ,流体励起振動(FIV)や液滴衝撃エロ―ジョンといった現象による振動,配管減肉,ピンホール問題に至る可能性がある.本講演では,配管振動データを機械学習に取り入れ,管内流動様式を識別する手法を示す.具体的には,汎用解析ソフトウェアによるANN,SVM等を用いた解析方法や,流動遷移の「あいまいさ」を学習に取り入れた上でクラスタリングに反映させるファジィ理論についても紹介する.
16:00~17:00「ベイズ最適化手法を用いたメッシュモーフィングによる流路の最適化」
ダイキン工業 片山 達也
昨今ニューラルネットワークのハイパーパラメータの最適化に多く利用されているベイズ最適化手法の流路最適化への適用について概説する.具体的には,Pythonを用いた一連のプロセス(メッシュモーフィング,OpenFOAMの自動化,最適化,結果分析)の実行方法について,事例を通じて解説する.
【定 員】
50名程度.申込み先着順により定員になり次第締め切ります.
【教 材】
教材のみ希望の場合は,Web (http://www.jsme.or.jp/kousyu2.htm) からお申し込み下さい.
1冊につき,会員3,000円,会員外5,000円にて頒布いたします.((講習会終了後は,在庫がある限り販売いたします).