基礎教育講習会 -エンジン技術の基礎と応用(その32)
2019年11月08日 | エンジンシステム部門講習会主催No.19-360
【開催日】2019年11月8日(金)
【企画】 エンジンシステム部門
【協賛】
自動車技術会,石油学会,日本燃焼学会,日本マリンエンジニアリング学会,日本内燃機関連合会,日本ガスタービン学会,日本エネルギー学会
【趣旨】
内燃機関の基礎から最先端までの内容を織り込んだテーマ構成といたしました.内燃機関を持続的に利用していくため,熱効率の
改善,排出ガスの清浄化は喫緊の課題であり,それらに関する最先端の話題を基礎技術も含めて,経験豊富な講師からわかりやすく
解説いただきます.今回は,MBDに関する話題,電動化と共存する内燃機関といった話題も含んでおり,次代を担う企業の若手技
術者や学生に是非聴講いただき,内燃機関の更なる革新を目指す一助にしていただければと企画委員一同願っております.
【テーマ・講師・司会】
司会:山口恭平 早稲田大学
<<午前>>
9:00 – 9:05/ 挨拶 基礎教育講習会企画委員会 委員長 田中 光太郎(茨城大学)
9:05 – 10:20/ (1)SIP「革新的燃焼技術」 ガソリンエンジン熱効率50%達成とその技術を支えるサイエンス
2014年度~2018年度に実施された戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的燃焼技術」において、我々ガソリン燃焼チームでは、ガソリンエンジンでのスーパーリーンバーン(超希薄燃焼)の実現によりエンジンの熱効率を50%以上にまで引き上げることに成功した。本講演では、スーパーリーンバーンによる熱効率50%達成までの当チームの軌跡と、µPIV計測によるエンジン内壁面境界層構造に関する新発見など、スーパーリーンバーン技術の発展に大きく貢献したサイエンスの側面からの顕著な研究成果について時間の許す限り紹介する。
講師:慶應義塾大学 理工学部 准教授 横森 剛
10:30 – 11:45/ (2)排ガスエミッション最小化に向けた取り組み
近年、地球環境保持、人体影響懸念などの観点より、自動車排気ガス低減に対する社会的ニーズは拡大し、排気ガス規制も強化の一途をたどっている。今後、適用が予定されるEURO7や国7規制においては非常に高いエミッション低減要求が想定される。一方で国政等により内燃機関排除し、電気自動車に代表されるZero Emission Vehicle(ZEV)への移行という動きもあるが、発電時のエミッションを考慮するとWell To Wheelでのエミッションという観点ではZEVであっても一定量のエミッションを排出している。今回はWell to WheelでZEV同等エミッションの実現に向けた「燃焼技術の進化」、「後処理技術の進化」、「電動システム」の組み合わせによる取り組みを紹介する。
講師:(株)デンソー パワトレインシステム開発部排気システム先行開発室室長 矢羽田 茂人
<<午後>>
12:50 – 14:05/ (3)自動車用のエンジンと電動化に関する将来展望
自動車用エンジンは、2030年を目途に燃焼技術を中心とした究極的な高効率化を達成した上で、HEVやPHEVでも幅広く活用され、これらを含めて動力システムとして20数年は主要な地位を保ち続けるものと予想される。
さらに、2050年に向けて低炭素のクルマ社会を実現するためには、EVやFCVの普及が必要とされている。それにはバッテリーの大幅な性能向上や再生可能なエネルギーによる発電や水素の製造、供給インフラの構築を推進することが不可欠である。
そこで本講では、競合するそれらの各種技術の発展の可能性について私見を交えて比較し展望する。
講師: 早稲田大学名誉教授 大聖 泰弘
14:15 – 15:30/ (4)モデルに基づくエンジンの制御
自動車の開発は,これまでの実験や試作に基づくものから,計算モデルを利用した開発,いわゆるモデルベース開発(Model Based Development)に移行してきている。エンジンの制御系設計,制御についても,モデルの活用が検討されている。従来は大量の実験に基づき作成した制御マップに基づいた制御設計,制御が行われてきたが,次世代の高効率,低公害な燃焼の導入を考えると従来以上に精緻な制御が必要となる。これには制御マップ作成のための莫大な実験が必要となることから現実的ではなく,モデルの利用が必要となる。今回は,エンジンの燃焼制御に用いるモデルの考え方,それを用いた制御システムの構築手法について説明する。またモデルに基づいて構築した制御システムを,開発環境において実機実装して行った制御試験の結果についても紹介する。
講師:東京大学大学院工学系研究科 准教授 山崎 由大
15:40 – 16:55/ (5)SKYACTIV X の燃焼技術
SKYACTIV Xの開発の背景とSKYACTIV Xの燃焼技術について紹介する。
講師:(株)マツダ パワートレイン開発本部エンジン性能開発部主幹 漆原 友則
16:55 – 17:00/ 閉会挨拶 (株)本田技術研究所 森田照義
【定員】 60名 申し込み先着順により,定員になり次第締切ります.
【教材】 講習会に参加されず教材のみご希望の方はこちらよりお申込みください.1冊につき会員3000円,会員外5000円にて,残部のある限り販売致します.