イブニングセミナー(第160回) ロボットが街を走る ― 搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験 ―
【開催日】
2013年5月29日(水)18.00~20.00
【趣 旨】
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマおよび講師】
衣・食・住は人間が生命を維持していくために必須の要件である。「動」(モビリティ)は人間の生活の質の重要な要素の一つである。近年、比較的近い距離を、自動車より手軽でエコに、自転車より楽に、移動するさまざまな手段が提案され、研究開発の成果も発表されている。パーソナルモビリティビークル(PMV)等と称されるそれらの移動用具は、大きさ、最高速度等について所定の範囲内でない限り道路運送車両の保安基準に適合することが要求される。提案されている多くのPMVを保安基準に適合させることは技術的に困難であり、そのため本来使用を想定している公道での実証実験ができないのが実情である。
茨城県つくば市は構造改革特区の制度を利用してPMVの公道実験を可能とする特例措置の提案をし、ついで市内の二つのエリアを特区として申請し認可された。プロジェクトには当初から1研究所と2社が参画しており、この3者がそれぞれのPMV(ロボット)で社会実験を実施して、使用する側の利便性と安全・安心・快適性、他の交通者(歩行者、自転車等)との親和性などの知見を蓄積してきている。その後更に企業、地方公共団体、大学研究室等の参加を得て活動は一層活発化している。
この制度と関連する法令、参加しているロボット、および公道実証実験によって得られた豊富な知見について紹介し、新しい技術を社会に適用しようとする際の課題等を考察する一助とする。
講師:鶴賀 孝廣(つくば市 産業コーディネーター)
<懇親会>
大学近くの「バブレストラン アミ」にて,講師を囲んで懇親会を行います.会費 3 000円程度
【次回予定】
2013年6月26日(水)18.00~20.00