一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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講習会:制御システムデザインのためのマルチボディダイナミクス

2010年11月30日 | 講習会No.10

マルチボディダイナミクスは,自動車,鉄道車両,産業機械,建設機械,航空宇宙機器,ロボットなど,機械系の幅広い分野における動力学解析や 設計・研究開発支援に役立てることができます.本講習会では,「制御システムデザインのためのマルチボディダイナミクス」と題して,制御とマルチボディダ イナミクスの関わりを概観し,また,関連する技術や興味深い事例を取り上げて解説します.マルチボディダイナミクスの技術を利用すると,制御対象の動的モ デルを数学的に表現でき,これを分析することによりその特性を把握することができます.現実に忠実なモデルは非線形システムになりますが,本質的なメカニ ズムを理解するには,これを線形化することが必要になります.こうして対象の特性を調べた後,さまざまな要求や仕様を満たすように制御システムを設計,最 適化する際にモデリングの果たす役割は重要となります.さらに設計された制御システムを検証し,あるいは妥当性確認や調整を行う際に,現実のモデルに近い 挙動を再現できるマルチボディダイナミクスの役割は極めて重要です.本講習会では,マルチボディダイナミクスを利用して制御システムデザインを実施した事 例を通して,マルチボディダイナミクスと制御の関わりをご紹介します.制御系設計にご関心のある方々,マルチボディダイナミクスにご関心のある方々,ある いは両分野に取り組んでおられる方々に是非ともご参加いただきたく存じます.

【題目・講師】
10.00~11.25 (1)システムズエンジニアリングアプローチと制御系設計
西村 秀和(慶應義塾大学)
マルチボディダイナミクスで実システムをモデリングする最も大きなメリットは,制御系設計を行った後の制御系の検証,妥当性確認を行う際に, 本物に近いシミュレーションができることです.システムズエンジニアリングプロセスでは要求分析~システムデザイン~検証~妥当性確認を行いますが,制御 システムデザインの事例として,ここでは,二輪自動車の前輪操舵アシスト制御を取り上げ,マルチボディダイナミクスに基づくモデリングがいかに有効に利用 できるかをご紹介します.

11.35~13.00 (2)制御のためのモデリングと終端状態制御
西村 秀和(慶應義塾大学)
制御系設計を行うためにはそのためのモデルが必要となります.二輪自動車を事例として,マルチボディダイナミクスによるモデリングで得られた 非線形システムを線形化し,そのモデルを解析することの重要性をご紹介します.また,ライダの操縦による二輪自動車のレーンチェンジシミュレーションを実 現するため終端状態制御を適用した事例をご紹介し,モデリングと制御の関係性をわかりやすく解説します.

14.00~15.25 (3)線形化の方法
田島 洋(東京大学)
多くの制御系設計の初期段階で,非線形の運動方程式を線形化して固有値解析を行うことが必要になります.しかし,少し複雑な系の運動方程式を 線形化することは,案外,面倒で,行き詰まってしまうかもしれません.ここでは,弾性的な性質を示す複数関節のマニピュレータを想定し,関節角度によって 固有値特性が変化する様子を調べることを狙って,多数の剛体で構成したモデルの線形化を考えます.応用範囲の広い方法として順動力学解析手順を利用した線 形化法などを解説します.

15.35~17.00 (4)拘束系(ロボット)の最適軌道計画
岩村 誠人(福岡大学)
マルチボディダイナミクスの制御応用の一例として,最適軌道計画(最適制御問題)に応用した例をご紹介します.最適化問題を解こうとすると, 感度解析を行うことが必要になりますが,自由度が増加するにつれて運動方程式は急激に複雑になるため,感度関数の計算は非常に困難になります.そこで,こ こではリカーシブ動力学計算法を利用した汎用的な感度解析アルゴリズムについてご説明します.そして,様々なロボットの最小エネルギー制御問題や最短時間 制御問題に適用した例をご紹介します.

17.10~17.30 (5)質疑応答・総合討論

【教材】
講習会当日に教材およびパワーポイント資料を配布します.なお,教材は講習会受講者のみに頒布し,教材のみの販売はいたしません.

会場
東京理科大学 森戸記念館 第1会議室
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4-2-2(TEL:03-5228-8110)
JR総武線,地下鉄有楽町線,東西線,南北線 飯田橋駅下車徒歩8分
会場URL
http://www.tus.ac.jp/info/setubi/morito.html
参加登録費

会員10 000円(学生員5 000円),会員外20 000円(一般学生8 000円)
聴講料は開催日の10日前までに着金するようご送金願います.なお,聴講券発行後は取消しのお申し出がありましても聴講料は返金できませんの でご注意願います.

問い合わせ先

申込者1名につき,http://www.jsme.or.jp/kousyu2.htmか ら必要事項をご記入いただき,直接お申込み下さい.(あわせて聴講料もご送金願います.)
(担当職員 小阪雅裕)

【定員】
50名 申し込み先着順により定員になり次第締め切ります.

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