イブニングセミナー(第166回) 日本とアメリカにおける倫理観の相違
【開催日】
2013年11月29日(金) 18:00~19:30
【趣 旨】
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマおよび講師】
日本の倫理は,どことなく曖昧で,何が基準になっているのかわかりにくいことが多いですね.というのも,日本人にとっての正しさは,共同体の正しさだからです.つまり,共同体が変われば正しさも変わるというわけです.
これに対して,アメリカの倫理はよりはっきりしています.個人主義の国ですから,逆に誰にとっても正しいということが明確でないと,社会が成り立たないのです.だから正義をめぐる議論も盛んに行われます.共通の理解を持つためです.そしてその答えは,より利益が多いかどうか,より役に立つかどうかという基準で決められます.
これだけ見ても日米の倫理観に差異があるのは一目瞭然でしょう.講演では,こうした差異について,思想的な根源にさかのぼりつつ,また技術者の倫理とも絡めてお話ししたいと思います.
講師:小川仁志(徳山高専准教授)