イブニングセミナー(第131回) 「音,関係性のデザイン~機械と音,建築と音,その関係と意味~」
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマおよび講師】
「モノ」や「場所」に求める価値の重心が機能から感性へシフトする中で,「モノ」が発する音や,「場所」に在る音のデザインは,従来の騒音低減一方向から,多様なニーズを満たす音創りが求められている.
「関係性のデザイン」というフレームを呈示して,様々な場における音の文脈を読み解くことで,音創りのヒントを探る.
リスク低減のパラドックス ・・・ 騒音制御で顕在化するリスク
関係性のデザインの必要性 ・・・ 機能の上位にある意味デザイン
人と機械とのインタラクション ・・・ 音の意味的価値との関係
音創りの巧拙 ・・・ さりげないデザイン vs 音響指標への固執
日本人の左脳偏重の音受容 ・・・ 低騒音≠静けさと文化の同根性
非差異化へ向う機能価値追求 ・・・ 感性価値による差異化の実現
HV/EVにおける音創り ・・・ 静か過ぎる問題と音アイコンの模索
聴覚における図と地と場 ・・・ 文脈の整合と音環境の受容
短期ソリューションの罠 ・・・ リスクの保持という解
感覚資源を取り戻すには ・・・ 文化資本の獲得とアフォーダンス
溢れる人工音と無感覚化 ・・・ 音の「引き算の発想」と自律的行為
講師:石田康二((株)小野測器 技術本部)
【次回予定】
2010年10月27日(水)18.00~20.00
演題未定