イブニングセミナー(第184回) 「在宅ホスピスケアと医の原点」
【開催日】
2015年5月27日(水)18.00~20.00
【趣 旨】
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマおよび講師】
ホスピスケアは,死を前にして“いのちの危機”を実感している患者と家族を対象に,患者の苦しみを緩和し(緩和医療),病だけを診るのではなく病を抱えて苦しむ一人の人間として(全人医療),必要な支援の実施をもっとも大切にしている.この概念と実際の具体的ケアはC. Saundersによって提唱され,1967年St. Christopher’s Hospiceの誕生によって一つの形をなした.
全人医療,緩和医療はホスピスケアのお家芸であるが,人類の歴史を振り返るとき,それは決して新しい医療ではなく,医療の原点として人類の歴史とともに滔々と流れてきたことがわかる.その意味では,ホスピスケアは忘れられた医療の原点を再発見した,いわば“医のルネッサンス”であったということができよう.特に患者の居宅で行われる在宅ホスピスケアは,その医の原点を我々の心にもっとも深く銘記させるものであり,在宅ホスピスケアを経験することによって,“医とは何か,医はどうあるべきか”が見えてくる.
講師:川越厚(クリニック川越院長・在宅ケア支援グループ・パリアン設立者)
<懇親会> 大学近くの「パブレストラン アミ」にて,講師を囲んで懇親会を行います.
会費 3 000円程度
次回予定:2015年6月24日(水)18.00~20.00