イブニングセミナー(第185回) 「傷害予防に取り組む-変えられるものを見つけ、変えられるものを変える-」
【開催日】
2015年6月24日(水)18.00~20.00
【趣 旨】
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマ】
事故による子どもの傷害は多発しており、傷害は、子どもの健康問題として重要な課題となっています。3歳までのあいだに、10人のうち7-8人の子どもが医療機関を受診するような事故に遭遇しています。この傾向には変化がみられていません。
何十年も前から「事故は起こってからでは遅く、未然に防ぐことが大切」と指摘されてきました。医師や保健師からは「注意しましょう」「24時間決して目を離さないで」と指導されていますが、保護者の方は十分注意しており、目を離さずに見ている目の前で事故は起こっているのです。24時間目を離さないことなど現実には不可能です。
一方、多くの保護者の方は「まさかうちの子に限って」「私が見ているから大丈夫」と思っていらっしゃいます。いったん、重症度が高い事故が起こると、たいへんなことになり、一生、後悔することになります。
子どもが事故に遭遇しやすい理由は「発達」するからです。昨日まで寝返りできなかった子どもが、今日、寝返りをしてベッドから落ちてしまうのです。子どもの事故は、何か月になったら、あるいは何歳になったら、どんな事故が起こるかわかっています。そして、多くの場合、どうしたら予防できるかもわかっているのです。
事故の予防に取り組む場合は、重症度が高い事故、発生頻度が高い事故、増加している事故について優先的に取り組む必要があります。また、きちんとした解決方法がある事故について取り組むべきです。
事故による傷害を予防するためには、傷害が発生した時の状況や製品・環境の詳しい情報が不可欠です。また、いろいろな職種の専門家が連携する必要があります。傷害が起こった時の情報を、「変えたいもの」「変えられないもの」「変えられるもの」の3つに分け、変えられるものを見つける必要があります。予防とは、「変えられるものを見つけ、変えられるものを変える」ことなのです。
この10年間に、工学系の研究者と取り組んできた傷害予防活動について紹介し、社会問題の解決へのアプローチの一つとして提示させていただく予定です。
講師:山中龍宏(緑園こどもクリニック院長・産業技術総合研究所 人間情報研究部門客員研究員、NPO法人 Safe Kids Japan理事長)
<懇親会>
大学近くの「パブレストラン アミ」にて,講師を囲んで懇親会を行います.
会費 3 000円程度
【次回予定】
2015年7月29日(水)18.00~20.00
演題 「鉄道の技術発達史(仮)」
講師 佐藤芳彦((株)サトーレイルウェイリサーチ 代表取締役)